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Interview with
Atsuhiko Mori (WACKO MARIA Designer)
about Fashion needs Music

Interview with
Atsuhiko Mori (WACKO MARIA Designer)
about Fashion needs Music

ファッションと音楽を繋いだ名画たち
すでにどっぷりと音楽の魅力にハマっていた森だが、ファッション面ではミュージシャンのパフォーマンスよりも映画からの影響が強かったのだと話す。「ジム・ジャームッシュの映画観てたら、50sのシャツとか着てるやん? そこでかかってる音楽がよかったり。タランティーノの映画も音楽とリズムが好きやね。だから、そのミュージシャンがっていうよりもこの音楽がこんなシーンで流れていたら格好いいなっていう感覚が強いかな。10代の頃から気になった映画をバーっと観てて。その頃は監督が誰かなんて知らんかったし、何を観てもアメリカやと思ってたから。“アメリカ格好えぇな……”って(笑)。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』も好きだし、『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』もよかったな」。ロバート・ロドリゲス、ゴダール、カサヴェテス……。森が映画の話を始めると、そうした名匠の名前がよく挙がる。中でも森が強い影響を受けたのが、ジャームッシュの『ストレンジャー・ザン・パラダイス』だ。「二十歳過ぎたぐらいかな。初めて観たときはこんなに洒落てる映像と人と、ファッションがあるのかと思ったよ。ハットを格好いいと思ったのも、この映画の影響が大きくて」。
 
当時は銀幕のスカスタイルに憧れて、よくオーダーメイドのスーツにコンバースを合わせていたという。現在の森のスタイル、そのルーツがこの時期になるとより明確に垣間見られるようになってくる。そうして音楽や映画から洒落ることを学んだ森だけに、現代で街にあふれるファッションビクティムたちには違和感を感じていたようだ。
「やっぱり、俺の中では物がどうだから格好いい、とかっていうことはないかな。人間でもそうだよね。自分が気になるのって、絶対にオーラがある人。そのどこにオーラがあるのかって聞かれてもよくわかれへんねんけど、一番大事なことだと俺は思う。なんて言うか、みんなまとまりすぎて、アホっぽいやつがおれへんよね。そいつらしさを感じる、変なやつが昔はもう少し多かった気がする。そういう雰囲気のある奴がもっといっぱい増えたら嬉しいな」。


 

音楽への探求は終わらない
人気ブランドやレアアイテムを身に付けることに躍起になりがちな現代のハイプたちに、森の関心が向かうことはない。ワコマリアの根底にある文化やアイデンティティを表現する為に、今、森はキラーチューンズブロードキャストを主宰している。音楽、映画、アートなど、ジャンルやカテゴリーにとらわれず新たなクールネスを追求していくための活動だ。「単純に面白いことをやりたいって気持ちだけで始めたから。要はただ好きなだけやね(笑)」。コンスタントにイベントを開催し、国内外のミュージシャンをフィーチャーし続けることで、森の音楽的バックボーンはさらに明確なものとなっていった。その活動の中で森が「絶対に呼びたかった」と語ったのが、ディープファンクの鬼才、ケブ・ダージと生ける伝説、DJ ハーヴィーの2人だ。そして、彼はそんな願いを見事に成就させている。「やっぱりめちゃくちゃ格好えぇよ。ケブとは勉強会もやったね。ケブが“おい、お前らこれ知ってるか?”って言いながら曲を延々とかけてって、俺はそれを一生懸命メモっていくっていう(笑)。気づいたら朝の6時とかになってたよ。それを2日間続けたり」。
 
世界的な評価を得ているDJが、面と向かって楽曲をリコメンドしてくれるというのだから、なんとも贅沢な時間だったことだろう。楽曲について質問しながらそれをせっせと書き記していく森の姿を想像すると、なんとも微笑ましい気持ちにさせられる。「でも、今はピピピで全部できるやろ」。スマートフォンをタップするするジェスチャーをしながら、森はそうつぶやく。「だから、今の子達はそういうチャンスがあってもあんまり乗って来ぉへんのちゃうかな。でも、昔やったら、そういうピピピのない時代やったら……いや俺は今もやねんけど、絶対食いつく。生の情報にはやっぱり勝てんし、そっちの方が楽しいんじゃないかなと俺は思う」。懐古主義のように聞こえるかもしれないが、森の考え方はあくまでフレキシブルだ。「聴いたことがないジャンルでも何か光るものを感じた音楽やったら買いに行くし、聴いてみる。それは何でも一緒やね。結局気になるのは格好いいかダサいか、それだけ。人間も一緒だし、ファッションも音楽も映画も一緒」。
 
森敦彦のスタイルに対するこだわり、音楽に対する情熱は増すばかりだ。「今も欲しいレコードが山ほどあるよ。多分、永遠に出てくる。今は知り合いも増えたから、“この辺好きなのわかるでしょ? あったら教えて”ってできるようになったけどね。“森くん、こんなのあったよ!”ってYouTubeを貼り付けてメール送ってくれるから、それだけ観れるようにはなったね。でもやっぱいまいちメールは苦手やな」。そう話す森の笑顔は、レゲエと出会った10代のあの頃と、きっと変わらない。

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