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Interview about Style is Message N2
with Tetsu Nishiyama (WTAPS / FORTY PERCENT AGAINST RIGHTS ® / DESCENDANT)

Interview about Style is Message N2
with Tetsu Nishiyama (WTAPS / FORTY PERCENT AGAINST RIGHTS ® / DESCENDANT)

好きを突き詰めること。

 

10代後半からデザイナーとして活動を始め、現在はWTAPS、FORTYPERCENTAGAINST RIGHTS®、DESCENDANTの3ブランドをディレクションする西山徹。ミリタリーやワークをベースに独自のクリエイションで、スタイルと哲学を発信してきた日本のストリートファッションを代表するデザイナーだ。西山徹の作ってきたもの、ブランドに“スタイル”があるということは彼に触れたことがある人たちなら誰もが納得するだろう。彼が支持されている理由は単純な洋服のデザインよりも、もっと根底ある哲学、考え方にある。

 

スタイルについて聞くと西山はおもむろにインターネットでスタイルという用語を検索した。「自分はスタイルという言葉を感覚的に捉えているんだけど、どういう意味なんだろう。日本語に直訳すると様式・形式・種類と出てくる。自分に当てはめると、僕は洋服の専門学校に行って洋服のデザインを学ぶといったアカデミックな過程を踏んでいないから、ここ(検索辞書)に出てくる意味の型にはまらない形で自分のキャリアをスタートしたことになる。そもそもスタートは遊びの延長だったし、一般的にカテゴライズされにくいやり方ではあったから、自分なりに自分のスタイルを模索してきたってことになるのかも。洋服づくりを始める前からスケートボードやバイクが好きで、それらからの影響をベースにした表現になったんだけれど、一般的に言われるようなスケートボーダーらしい格好だったり、バイカーぽい格好だったりはあまり好きじゃなかった。スケートボーダーだからこう、バイカーだからこう、みたいな固定観念に縛られたくないと思っていた。だから自分の表現が型から外れていても、それをオリジナルのアイデンティティとして持って、それぞれのカルチャーに混じり込んでいくという考えが自分の原点なんだと思う。カテゴライズされないスタイルが自分にとっての“スタイル”と言えるんじゃないかな。」

 

 

日本語における「型」には面白い2つの表現がある。「型破り」と「型無し」。日本語でスタイルに対して表現された大事な表現だ。「型を理解し、その型を破ろうとする革命家」なのか、「型を知らぬままに自由を主張する無謀さ」なのか。西山は青春時代に、スケートボードやヒップホップと出会い、その好きなカルチャーを突き詰めることで、その「型」の本質を理解し、型を破ろうとしてきた挑戦者だ。型を破ろうとするものたちは根底にある思想、考えを追い求めることで、結果「型」を破ることになる。

 

「80年代にヒップホップシーンでPUBLICENEMYが出てきた時、それまでのヒップホップのやり方に囚われない彼らなりの思想を持っていて、伝えたいメッセージをヒップホップというスタイルで昇華したというところに惹かれた。そういう意味で、自分も考えを持つ人間になりたいと思ったし、PUBLICENEMYの表現の仕方にのめり込んだ。型にはまらない人たちに憧れたのかもしれない。PUBLIC ENEMYもそうだけれど自分にとっての直接的な影響はスケシン(Skatething)や、ヒロシくん(藤原ヒロシ)との出会いかな。PUBLIC ENEMYやいろいろなカルチャー、人、場面、モノに出会わせてくれたのは彼らだし、そんな彼らが教えてくれたことや、話してくれたことのおかげで、『なぜPUBLIC ENEMYを好きになったのか、なぜ彼らをかっこいいと思うのか、なぜ自分はスケートボードが好きなのか』 ということをより具体的かつ哲学的に理解しようという考え方に繋がったんだと思う。自分の頭で考えて『好き』を追求していく人たちに囲まれていたから、そういう人たちからの影響なんじゃないかな。」

 

 

西山は今現在でも、その当時に受けた影響を感じ続けているという。「やっぱり何かを作る時に“考えることをやめないこと” が今でも習慣付いているのは、当時からの影響が大きいね。あとは直接的ではなく、サブテキストを持たせたり、表層と深層の構造を考えてみたり。特にスケシン(Skatething)からはその影響を大きく受けていると思う。何かを作る時に、常にそれを意識する。メッセージって奥にあるものだから。」

 

メッセージという観点から考えると西山が10代の頃から続けているプロジェクトでありブランド、FORTY PERCENT AGAINSTRIGHTS®はウエアというメディアを通じて、多くのメッセージを発信してきた。「FORTY PERCENT AGAINST RIGHTS®は自分の考えていることを直接的な言葉で伝えるようにしている場合もあるし、伝わりづらくしている場合もあるし、比喩的表現もあったりする。皮肉交じりなメッセージが多いかもしれない。よりメッセージの持つ強さが伝わるよう黒をベースにしたモノクロのデザインで作っている。例えば以前リリースした『Don’t Follow me I’m lost too』のメッセージTシャツは、『変な人を信じちゃいけない』という意味で、自分は変な人で自分も自身を見失っているからついて来ちゃいけない、という警告にもなっている。集団でいるとだれか一人をリーダーにして、全員でリーダーの進路について行くけれど、道を間違えたらリーダーのせいにしたりする。それなら無責任について行かず、自分の道を歩け、というメッセージ。

 

 

同じような意味でずっと掲げているメッセージが『MY LIFE IS MYLIFE』。これはすごく具体的で直接的な言葉じゃないかな。『MY LIFE IS MY LIFE』の由来は、僕が高校生の時に当時スーパーモデルの一人、タチアナ・パティッツがMTVの番組で言った言葉で、以降FORTY PERCENT AGAINSTRIGHTS®のスローガンにした。歌の歌詞のような感覚で存在する言葉だなと思うし、短い文なのにいろんな解釈ができる。こういったメッセージが手に取る人たちそれぞれの考えや、生活や人生に寄り添うものになっていればいいなと思う」。

 

生活、人生に寄り添うスタイル、ファッション。そんな中で西山がいつも持ち歩いているものはなんだろうか? 「電話とカード入れくらいしかないかな笑。もう電話に全てが入ってしまってるから。カバンとかも持たなくなったしね。生活に適した格好をしているとは思う。洋服は季節に応じた選び方をするかな。暑い時期、寒い時期、それぞれの気候に適応するコーディネートで、日々の暮らしに寄り添った着方を楽しむようになってきた。子供がいるとなおさらそれは密接に感じるね。DESCENDANTを始める理由もそこにあったし。ブランドでいうと春夏はDESCENDANTのほうがより個性が顕著だったりするし、秋冬はWTAPSの方がより季節の雰囲気に合っていたりするかも。環境や四季でそういった事も楽しめるようになったと感じる」。

 

 

そんな季節を楽しむファッション、スタイルには色という要素がある。単純な好きな色について聞いてみると面白い答えが返ってきた。「ティール・ブルーが好き。ターコイズにも近いんだけど、微妙で繊細な色だね。なぜ好きなのかは自分でも感覚的なんだけれど、ティール・ブルーや、パープルに近いピンクの配色にアメリカのイメージが強くあって。そのアメリカのものやカルチャーを特に見ていた時期、一番好きだった頃に印象づいた色だから。それが刷り込まれているのかもしれない。アウトドアブランドのカタログを見すぎていたのもあるかも笑。スケートボードのデッキによく使われていた色だったかもしれない。楽しかった頃の思い出が詰まった色なのかもね。」

 

 

楽しかった時代、若い頃から、好きを追い求めて現在に至る。そしてこれからも続けて行く。これからは西山はどんなことを伝えようとしているのだろうか?「若い頃から何も変わらないけれど、自分の“好き”をなぜ好きなのかと追求し続けることが大切だと思う。たとえば洋服のデザインをアカデミックな環境で学んでいなかったとしても、好きなことを突き詰めた結果、今こうして自分なりの表現を形として見せることができている。『好きを追求することに未来がある』ということは、自分の経歴が型にはまったものではなかったからこそ、次のジェネレーションに伝えられることになるんじゃないかな。

 

 

原宿のストリートから生まれたブランドで、90年代から始めてここまで長くやるとは当時想像もしていなかった。だけれど、そんな形が実際にある。服飾の学校を出て活躍している人たちも当然ながらたくさんいる。だけれど僕のようなタイプもいる。そういう選択の道は常にたくさんあるということを生きているうちに伝えていけたらいいなと思う。そのこと自体がMY LIFE IS MY LIFEという意味になるように。」

 

 

 

西山 徹

1974年生まれ。渋谷区南平台出身。1993年、 SkatethingとともにFORTY PERCENT AGAINST RIGHTS®を始める。1996年よりFORTY PERCENT AGAINST RIGHTS®を休止し、WTAPSのデザイナーとして活動開始。2009年 “Media Guerrilla”という新たなテーマのもと、FORTY PERCENT AGAINST RIGHTS®を13年ぶりに復活。2014年DESCENDANTをスタート。現在は3ブランドのディレクションを手がける。

 

 

2018 September 1st 3pm
@ Atelier of Tetsu Nishiyama
Nanpeidai, Shibuya, Tokyo
35.654622’ N 139.69132’E
Photo Tomoaki Shimoyama
Interview and Text Takuya Chiba

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