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Interview about Style is Message N1
with Luke Meier (OAMC/JIL SANDER)

Interview about Style is Message N1
with Luke Meier (OAMC/JIL SANDER)

スタイルがなくては、何もはじまらない

「スタイルこそが全ての基本だ」ルーク・メイヤーは語る。自身のブランドOAMC、そしてジル・サンダーのクリエイティブディレクターでもある彼は、現在我々が最も注目しなくてはならないデザイナーのひとりだ。コンテンポラリー・カルチャー、伝統に裏付けられたテーラリング、その奥底に感じるストリートカルチャーの匂い。最高級の素材。そのすべてを文句のつけようのない現代的な感覚で融合させるデザイナーは、彼をおいて他に見当たらないだろう。

 

そんな彼のクリエーションの源にあるスタイルについて。スタイルという言葉をどう捉えているか、聞いてみた。「自分にとってスタイルというのは、全てのスタートであり、最も基礎的なことで、一番大切にしていることだ。僕は常に考えているんだ。スタイルとは単にファッションのことを示す言葉ではなく、哲学であり、人生観なんだ。僕はコレクションを作る時でも大きなテーマの中にあるひとつひとつのルック、スタイリングにもスタイルを考える。ひとつひとつのルックに意味を考えるんだ。スタイルを考えずして、何も語ることはできないんだ」。

 

 

彼がスタイルについて考えるようになったのは、周りの環境からだったという。「特定の人のスタイルに影響を受けたりするわけではないんだ。自分の小さい頃から、今現在も周りにある環境全てが僕にスタイルについて考えることを教えてくれた。特に若い頃に出会ったスケートボードからは多くのことを学んだ。個性こそが大切であると。お互いが個性をぶつけ合って、その個性をリスペクトし合う。単純なスケートボードの上手さとか、そういうことではなくて、その人なりのカッコ良さを認め合うことの大切さを肌で感じてきたんだと思う。ストリートカルチャーの魅力は個性ということに尽きると思う。インディペンデントであること、自分らしくあること、自分の信じるカッコよさを追求すること。僕たちの世代はそれを常に意識しながら育ってきた。何を見たか、それをどう吸収するか、そしてどう生きるか。それの全てがスタイルを作ること繋がっているんだと思う」。

 

さらに話は自身のルーツであり、生まれ故郷のカナダのことに遡る。「僕は幼い頃から様々なカルチャーの混ざり合ったところで育ってきた。僕の生まれのカナダ西部はそういう場所だった。大自然があり、都会のカルチャーもある。イギリスの移民文化やアメリカの文化、カナダ西部の歴史の全てがMIXされて僕に影響を与えてきた。僕の成長の過程には、いつもいろんなカルチャーや、人たち、歴史が常に混ざり合っていたんだ。そこで自分のスタイルを模索していたんだと思う。それが今の自分のクリエーションに繋がっている。様々な感覚のミックス、そして個性、スタイルに対してのリスペクト。僕は育ってきた環境にいつも感謝している。僕のルーツは家族同様に深くカナダに根ざしているしね」。深い考えを持ってクリエーションに向かう彼の姿勢はしっかりとモノ作りに反映され、意志の通った服たちは世界中の“わかる人”たちに支持されている。

 

彼に自分以外で興味深いスタイル、メッセージを発信している人間は?という質問を投げてみた。すると、すぐに妻であるルーシーの名前を挙がってきた。ルーシーとはともにジル・サンダーのクリエイティブディレクターを務めている。「ルーシーは常にユニークな考えを持っているんだ。そしていつもピュアで明確なヴィジョンを持っているから。彼女の表現はいつも私をワクワクさせるし、インスピレーションを与えてくれる」。

 

そんな妻ルーシーとの共同作業であるジル・サンダー、そして自身のOAMCを通じて彼が伝えようとしていることは、とても知的で、まさに彼らしい絶妙なバランス感がある。「僕はたくさんのことを伝えたいと思っているけど、全てを伝えきれてはいないかもしれない。自分の気持ちや考えを表現することはいつも個人的に取り組んでいるけれど、僕は服を通して表現するので、直接的にわかりやすくはないから。でも、様々な要素をミックスさせてスタイルを作って行くこと、社会にあるそういう絶妙なバランス感を伝えて行くこと、わかりやすいことだけではないことを伝えていきたいと思っている。そういう意味では、たくさんの人にわかりやすく伝えきれていないかもしれないというジレンマもあるけどね」。と、本人は言うが実際彼のデザインするOAMC、ジル・サンダーは世界中の多くの人の支持を受け、今最も注目されるブランドになっている。

 

その基盤にあるのは製品に対して不器用とも言えるほどに真摯に向き合う姿勢だろう。OAMCのプロダクトは、フランス、イタリア、ポルトガル、日本で限られた数量のみが生産されている。プロダクトに使用される生地、装飾、その他ディテールで使われる部品の多くがOAMCだけのために開発されたオリジナルのもので、そのクオリティーの高い生産背景に裏づけされた製品に宿る彼のモダンな感覚は無二だ。

 

彼のバランス感、様々なものを吸収しながら、時代、社会とともの歩む生き方は普段の持ち物にもあらわれている。「いつも決まって持ち歩くものは財布しかないんだ。あとはいろんな状況で全て変わっている。自分の気分や、環境によって持ち物は常に変わっていていいんだ。快適にいられることが何よりも大切だからね。好きなものは常に変わっていっていい。季節が変われば、気分も変わるし、好きな色も変わる。そうやって環境やいまの自分にムードに素直に生きることが気持ちいいことだと思うんだ」。

 

彼は自分の服作りのスタンスをこう話す。「テーラリングも好きだし、強いメッセージが載ったシンプルな服、例えばTシャツやスウエットも好きなんだ。どちらかに偏ることもない。デザインに対する面白さ、そしてそれと共にある着心地、使いやすさを追求することへの興味は失うことのない永遠のテーマだ。その基本理念、クリエーションの基盤になるのが、ピースだけではなく“スタイル”を考えること。日々スタイルとは何かを模索すること。それがスタイルを生み出す。スタイルは全てなんだ。」

 

 

ルーク・メイヤー

OAMC、ジル・サンダーのクリエイティブディレクター。ストリートカルチャーのリファレンスを持ちながらテーラリング、コンテンポラリー・カルチャーをMIXし自在に操る。妻ルーシーとともに次世代のデザイナーとして注目される。

 

 

2018 August 31st
@MILANO Atelier of LUKE
Creative director of OAMC / JIL SANDER
Born in Canada
Photo OAMC
Interview and Text Takuya Chiba

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