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in nostalgia we trust GOLD

in nostalgia we trust GOLD

column about gold

Silverで幾度となく紹介し、前ページでもファッションビジュアルを掲載したブランド“gold(ゴールド)”。ここでは、改めてその魅力を紹介したい。

ゴールドを展開する会社は、1965年設立という長い歴史を持つ東洋エンタープライズ。前身となる港商商会は戦後間もない頃に、今や誰もが知る「スカジャン」を生み出したという背景を持つ。その後、東洋エンタープライズとなってからは、ヴィンテージのアメリカンカジュアルウエアの復刻を長年手掛けてきた。ヴィンテージウエアは言うまでもなく希少性があり、価格も高い。手に入れたくても手が届かない存在。それでもヴィンテージウエアが持つ奥深い魅力を広く伝える為に、忠実に生地やディティールを再現するなどの工程を行い、これまでに様々な名品を蘇らせてきた。東洋エンタープライズが手がける象徴的なブランドをいくつか例に挙げると、フライトジャケットのバズリクソンズ、アロハシャツのサンサーフ、スカジャンのテーラー東洋など数多く存在する。サンサーフというとsaca(iサカイ)が2020年春夏シーズンにコラボレーションしたコレクションが記憶に新しい。テーラー東洋のスカジャンも、クロムハーツ青山店20周年の時にコラボレーションを行なっていたりと、数多くのファッションブランドたちが東洋エンタープライズの持つ服作りのクオリティに信頼を置いているのがわかる。設立から長い歴史の中で、ヴィンテージ復刻におけるものづくりの技術を高めていった東洋エンタープライズ。しかし、ヴィンテージウエアはマニアックで、格式が高いという印象から広い層に受け入れられづらいというのも事実。もっと、多くの人に時代を経てきた生地やディテールの魅力を知ってもらいたい。そんな思いを込めて2011年秋冬シーズンに誕生したのがゴールドである。
 
ゴールドは、ヴィンテージウエアの復刻技術で培ったノウハウや技術を背景に、より現代的に自由なファッションとして楽しめるウエアを展開。オーセンティックなデザインながらも、生地や縫製など細かな部分のクオリティが抜群に高いというのが真骨頂だ。デザインのベースや生地に使われるのは、アメリカだけではなくヨーロッパヴィンテージをベースにすることも多いゴールド。東洋エンタープライズが持つほかのブランドとは対照的に、自由かつジャンルレスな提案を行っている。上質をキーワードに、綿の最上級品種であるスヴィンコットンやイタリア製の高品質なパイル生地を使用したり、ベビーカシミアを使ったニット、キッドモヘアで作られたカーディガンなども特徴である。カシミアのニットを着用してみると目の詰まったずっしりとした心地良い重さがあり、オーセンティックなデザインも相まって、上質な生地感を存分に楽しめるような服となっている。

職人気質なブランドのオンリーワンなものづくり

存分に楽しめるような服となっている。また、特筆すべきは、東洋エンタープライズの歴史による生産背景。これもまたゴールドの服作りに重要な役割を持つ。例えば長年、専属的に生地や染色、縫製などを行なってきた全国各地の工場。岡山のデニムはもとより、シャツの生地なら兵庫県の西脇、ウールなら尾州(愛知県)など、日本が世界に誇る生産拠点の職人たちとともに長年をかけて築き上げた技術によってゴールドの上質な服は生み出されている。今季でブランド開始から9年。ブランド名の由来となったのは、golden age。魅力に溢れたアメリカ黄金期の服作りの新たな提案を目指すところから始まった本ブランドは、定番と言えるアイテムはあえて作らず、シーズンを追うごとにラインナップの幅が広くなっていった。あくまでゴールドの服は、良質な具材のようなものだ。料理をするのは着用者自身である為に、ゴールド単体でも、ほかのブランドや古着とも合わせられる。生地の仕様はヴィンテージベースでも、シルエットは現代のファッションに取り入れやすいビッグサイズであったりと遊びが感じられる服が揃う。ミリタリーやワークなど、それぞれの分野のエキスパートが揃っている同社らしく、長年のノウハウがゴールドの服で交わりプロダクトとして生み出されているのだ。
 
あえて、ゴールドはデザイナーは立てていない。なぜなら、前述したようにゴールドの生地や縫製すべてに関わる職人たちが主役だという考えだからである。良いものを作る為に、知識を磨き、技術を磨き続ける職人たち。その結晶がこの服たちであるのだから、モノの魅力を伝える為に、あえてデザインし過ぎないというのも拘りのようだ。ゴールドの服を通し、ヴィンテージカジュアルウエアの魅力を伝える。そのものづくりの背景を感じてもらえることを願ってゴールドは職人気質にこれからも服作りを続けていく。

キッドモヘアは、1歳までのアンゴラヤギの初毛のみを呼ぶ。通常のモヘアよりも柔らかく保温性に優れた品質の良い生地を存分に使用したカーディガン。寄りで見ても密に繊維が詰まっていることがわかる。

 
 
 

Photo Taijun Hiramoto Text Takayasu Yamada

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