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Graphpaper Kyoto

Graphpaper Kyoto

京都の伝統とグラフペーパーが作る
新時代のクラシックモダン

去る6月20日にオープンしたグラフペーパーの京都店が話題を呼んでいる。京セラ美術館やエースホテル京都の開業などで新しいスポットが盛り上がりを見せる京都の中でも、今訪れておきたい場所のひとつだ。
 
京都の街に馴染む現代的なモダンさとファッションを融合させた店作りはクリエイティブディレクター南貴之の感覚が存分に活かされ、京都の持つ伝統的な日本文化が独自の目線で表現されている。本誌連載ART&CRAFTSを監修する南の日本の作家たちとの強いリレーションシップも、この京都店の日本的美意識を高めていることがうかがえる。
 
一番の注目はモダンな外装と中にある和室、庭、蔵のギャップだろう。入り口から中に進むと奥の左手に茶室、さらに進むと庭があり、その奥には蔵がある。そしてその蔵はギャラリーになっている。
南はこう話す。「蔵は100年以上前のものなんです。すべてきれいにして、ギャラリーにしました。普段グラフペーパーで扱っている日本の作家さんの作品に加えてイサム・ノグチ、シャルロット・ペリアンなどを集め、日本にインスパイアされた作品がテーマになっています。
 
お店全体は元々の町屋造りという日本の伝統的な建築様式を残しています。間口が狭く、土間から庭、そして蔵へと続く奥行きの長い造りは、京町屋ならではの独特な姿です。そういう空間が作れる場所を探すのに、4年かかりました。それでオープンしようとしたらコロナになって。いろいろな意味で思い入れがありますね。
 
僕は和室が特に気に入っています。和室はお客様をもてなしたり、お会計をさせていただいたりする場所として考えました。お店に来て靴を脱いでお部屋に上がってスタッフとお茶を飲んだり、お話をしたりというのは、洋服屋としてはあまりないと思います。今の時代、お店に来る意味ってそういうコミュニケーションや体験しかないと思うんですよね。京都にわざわざ来ていただいて、いわゆるどこにでもありそうなステレオタイプのお店があっても何も感動がないですよね。和室に上がるときの段になる石もここに元々あったもので、そのまま使っています。土足で入ってきて、靴を脱いで一段上がる。座って話してお茶を飲む。おもてなしがあるという日本的な美学を提供できる店でありたいですね」。
 
取材当日、京都は雨が降っていた。中庭の石や木々には雨がしたたり、日本的な情緒をより感じられる空間になっていた。コロナ以降、よりデジタル化が進み、社会はテクニカルで便利なものに溢れた。ただ、もはや便利、機能的なものだけで心は動かない。雨が降って美しい。数値化はできないけれど、なぜか心を動かされるもの。そういう空間や美的感覚が私たちには必要だと、改めて感じることができた。

Graphpaper KYOTO
京都市中京区六角通富小路東入大黒町 88-1
TEL:075-212-2228

 
 
 

Photo Kaoru Yamada
Edit & Text Takuya Chiba

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