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Daijiro Mizuno
Kyoto Institute of Technology Think about the Future Fashion
サステナビリティとテクノロジーから未来のファッションを考える

時を超えて持ち続けられる服、一期一会のTシャツ、ヴィンテージウォッチの価値、時間が生み出すアートなど過去から現在へと続く時間のタームの中で考えを深めてきたが、ここからは未来に目を向けてみたい。革新的な技術が次々と発明され、どんどん便利になっていく世の中で、我々のファッションはどのように変わっていくのか、いや変わっていくべきなのか。そしてその中で抱える問題とは何なのか。識者2名に話を聞いた。キーワードは“サステナビリティ”と“テクノロジー”。資本主義的な大量消費の時代を経て、自己を主張するためのファッションにおいても、環境を含めた我々のライフスタイルをしっかり考える時が来ている。

Daijiro Mizuno
Kyoto Institute of Technology Think about the Future Fashion
サステナビリティとテクノロジーから未来のファッションを考える

時を超えて持ち続けられる服、一期一会のTシャツ、ヴィンテージウォッチの価値、時間が生み出すアートなど過去から現在へと続く時間のタームの中で考えを深めてきたが、ここからは未来に目を向けてみたい。革新的な技術が次々と発明され、どんどん便利になっていく世の中で、我々のファッションはどのように変わっていくのか、いや変わっていくべきなのか。そしてその中で抱える問題とは何なのか。識者2名に話を聞いた。キーワードは“サステナビリティ”と“テクノロジー”。資本主義的な大量消費の時代を経て、自己を主張するためのファッションにおいても、環境を含めた我々のライフスタイルをしっかり考える時が来ている。


 
芸術博士(ファッションデザイン)の肩書を持ち、現在は京都工芸繊維大学KYOTO DesignLab特任教授として、ファッションとそれを取り巻くデザイン、歴史などについて研究し、考察を深める水野大二郎。“未来のファッション”というテーマの取材に際し、まず現代の業界のキーワードともなっているサステナビリティ(=持続可能性)のはじまりから話をしてくれた。
「80年代からイギリスのキャサリン・ハムネットがスローガンTシャツを作るなど、一部のデザイナーが環境へのメッセージを投げかける活動をしていたんです。アウトドア系ブランド、特にパタゴニアもそういった活動を展開してきたので、日本ではその文脈で環境に配慮する機運が高まりました。“オーガニックコットン”や“フェアトレード”というキーワードが出た後、90~00年代にファストファッションが台頭したことで環境問題が顕在化し、国連レベルでも議定書などが採択され多くのブランドに影響を及ぼした結果、現在のサステナブルの風潮へ繋がりました」。
 
 

サステナビリティを前提に
すべてを作ることはまだ難しい

 
近年、サステナブルを提唱するブランドは急速に増加した。もはやそれはファッションを超えた企業理念にも関わるものとなっているが、そもそもその定義は非常に難しい。そんな中で水野がサステナブルを体現していると思うブランドとは。
 
「アディダスは100%リサイクル可能な画期的スニーカー、“フューチャー・クラフト・ループ”をリリースしたり、海洋環境保護に取り組むパーレイ・フォー・ジ・オーシャンズとともに海洋廃棄物のポリ素材を回収し、繊維にしてプロダクトに取り入れるなど、面白いモノをたくさん作っていて、最もサステナブルなブランドの1つとして世界的に評価されています。ただし、素材がリサイクルできず、廃棄するにもアッパーとソールの異なる素材を分解するのが大変なスニーカーも依然としてコレクターのために毎シーズンリリースしており、現状は全てが循環型ではないと認識しています。ステラ・マッカートニーもビーガンレザーを使用するなど先進的な展開をしていますが、同様に全商品がサステナビリティを実現出来てはいないと思います。いろんなブランドがありますが、100%リサイクルやリユース、素材の再利用などの循環系を実現出来ているところはほとんどないと思います。そういった意味では、パタゴニアは“ifixit.com”というサイトとタッグを組み、アイテムの直し方を公開するなど、違った側面からサステナビリティを実現しています。企業理念として新商品を売るよりも、長く使ってもらうことの方が重要だと考えている部分が素晴らしい。個人的にはバブアーも改めて面白いと思っています。バブアーのジャケットってワックスが引いてあって、耐水性も高いし、着れば着るだけ味が出て価値になる。よく考えると、そんな服って他にはジーパンくらいしか思いつかないんですよね、ほとんどの服は着れば価値が下がりますから。しかも修理やワックスの引き直しの必要があれば、専門業者へ送ってリプルーフするサービスも受けられる。状態を戻したり、リペアして新たな価値が生まれることが前提に作られているのは面白いですよね」。

2019年春にアディダスが発表した100%リサイクル可能な画期的ランニングシューズ、“フューチャー・クラフト・ループ”。素材は熱可塑性ポリウレタンのみを採用、接着剤をまったく使用せずに作られている本アイテムは、使用後に回収、裁断、溶解させて原料とすることで、再び同じシューズを生み出すことを実現させた。現在は世界中のクリエイター200名とともにグローバルベータ試験を実験中。着用→返却→再生産→着用というプロセスの中で起きる劣化、シューズの強度や再生産や返却の方法など、細かいデータを取ってより良いものへと進化させているとのこと。胸がワクワクするような未来の循環システム。発売予定は2021年。アディダスが二酸化炭素排出量削減に向けて始まったこの取り組みは2024年までにアディダスのすべての製品へリサイクルポリエステルを100%使用するという高い目標に向けて加速している。期待して待つべし。
future craft loop [Reference Item] by adidas

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