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CHROME HEARTS TOKYO 20th Anniversary interview
Richard Stark / Laurie Lynn Stark

CHROME HEARTS TOKYO 20th Anniversary interview
Richard Stark / Laurie Lynn Stark

クロムハーツ トーキョー20年の軌跡と
ブランドフィロソフィー

クロムハーツの日本の旗艦店とも言えるクロムハーツ トーキョーが今年20周年を迎えた。クロムハーツ トーキョーにて盛大な20周年のパーティーが行われ、その時に来日していた創業者のリチャード・スターク、共同オーナーのローリー・リン・スターク夫妻に話を聞いた。
 
 

僕達の期待をも超えた
特別な店なんだ

 
アメリカ カリフォルニアで設立以来、確固たるブランディングでライフスタイルブランドとして君臨し続けるクロムハーツ。強くブレないブランドの哲学は当然お店の作りにも表れている。クロムハーツ トーキョーが作られた時のことをリチャードはこう話す。「どんな時も店を作る場所を探す時はフィーリングなんだ。まずはじめにその場所や地域。それからどの土地が空いているのか。僕の友達がここの近所で仕事をしていて、この場所が空いていることを教えてくれたんだ。凄くラッキーだった。ただ単にそれだけだよ。あとはやっぱりフィーリングだね。ひとつ印象的なエピソードといえば、ここの通りを渡った所で毎日ご飯を食べていたんだ。渡った所の建物の屋上にレストランがあって。スタッフや知人たちとよくそこに行ってたよ。そこで毎日食べていたんだけど、レストランで働いている人たちに『こんな少ない量のスパゲティはスパゲティじゃない、もっと多い量でこのくらいの大きさをスパゲティっていうんだよ!』と教えるのに2週間かかったよ笑。もっと大きくないとね。他にもいろいろご飯の種類はあったんだけど、あそこのパスタは美味しかったんだ。
 
この場所は大きな道から逸れているし、静かな環境がとても気に入ってる。ここは10年に渡る自身のブランドの拡大、成功への挑戦のために初めてコンクリート素材を使って建てた店で、僕達の期待をも超えた特別な店なんだ。この店に使われた全ての素材が初の試みだった。最初は今僕たちが座っている奥の棟しか所有してなかったんだ。今、バスケットコート、階段、暖炉がある場所には6階建の建物が建っていた。そしてここを見つけてから隣が空きになったんだ。日本のチームが店舗拡張のアイディアと、パーツが取り外せて店の設計の全てを見ることが出来るミニチュアサイズの建築模型持ってハリウッドまで来てくれたんだ。それを長い間見ていたんだけど、僕はこれは違うと言った。隣のビルを取り壊して地下を繋げ、階段、エレベーター、バスケットボールコート、暖炉を作る。荒々しいアイディアではあったと思う。6階建の建物はさよならだ。ハードルは高く、僕達は多くの問題に直面した。そして次のステップは階段を作ることだった。コンクリートを使って作りたかったんだ。日本はコンクリートを扱う技術が凄く高いからね。だから、彼らにとってもチャレンジングなことだったと思う。クロスモチーフや様々なものが散りばめられた階段はチャレンジングだった。だけど、彼らは作り上げてくれた。最高だったよ」。
 
 

普通のものを驚くようなものに
変えることが大好きなのよ

 
アニバーサリーというタイミングだからこそ、なぜブランドを始めたのか?という質問をしてみると、彼は少し黙って、「それは紙に描き止めないといけないかもしれない…。これだよ」と紙に言葉を書いた。そこにはこう書いてある『静まり返った夜に僕の一番好きなデザインは考案された。僕はそれをChrome Heartsと呼ぶ』。それはインタビューの中に存在した、まさにブランドの世界観を表すような一瞬だった。
 
クロムハーツは家族によって経営され、独自の世界観、ライフスタイル全てがブランドそのものだ。リチャードはブランド経営において大切にしていることをこう語る「家族観が本質的価値なんだ。細部まで注意を払う。そして素材にこだわる」。クロムハーツはスターク家の壮大な遊び心の中からユーモアな製品を生み出している。縄跳びにケチャップ&マスタードのシルバーキャップなどなど、クロムハーツがなぜそんなものを作ろうと思ったのか?というくらいのユニークさだ。
 
「クロムハーツは世界中にある全てのものを作るんだよ。空いているスペースがあるからさ。」とリチャードが話すとパートナーのローリーがこう続ける「私達は普通のものを驚くようなものに変えることが大好きなのよ。それは遊び心なの。リチャードは凄く遊び心があって、もしあなたがクロムハーツのファクトリーに来たとしたら、そこで生み出されるクリエーションから明るさ、温もり、バイブスを感じられるわ。私たちにとってユーモアを保ち続けることは凄く意図的なことなの。そして、想像力を保つためにネガティブなものを真剣には受け止めない。それはアーティストとして維持するのが最も難しいことのひとつ。特に有名になるとビジネス的に考えがちになってしまうから。私たちはクロムハーツの世界観で生きているから、それ以外の外の世界を想像することが難しいの。例えば普段の生活の中でふと、歯磨き粉のこと考えて、歯磨き粉のキャップを作ればいいじゃないと思ったら、そうだわ、じゃあ、作りましょうよってなるのよ。他にも引っ掻き棒、好きな椅子とか。面白そうだと思ったら何でも作りたいと思っちゃうのよ。」そしてリチャードがこう続ける「僕たちは面白いモノを作るのが好きなんだ。考える時はいつも真面目じゃなくて遊びの頭を持っている。もちろん作る時は真剣だけどね。」「そしてそれを一生使い続けるものだと思ってものすごく細部にまでこだわり、時間をかけて作るのよ」とローリー。「家宝のようにね」とリチャード。
 
 

クロムハーツは私の全てであり、
私たち家族にとっても全て

 
他にどんなものを作ってみたいかと聞くとリチャードはすかさずこう答える「たくさんあるよ。たくさんだよ。息子のクリスチャンはボートを作りたがってるよ笑。今ここにいる部屋の大きさぐらいのボートをね。良い感じの釣り用モーターボートみたいな感じかな。僕たちのリストには常に作りたいものがたくさんあるんだ。作りたいものを思いついたり、夢を描くのは簡単なことさ。でも作るのが難しいんだ。それを作る時間が必要だからね。何故なら、もし、遊び心を効かせたボートを作るとしても、それと同時にみんながちゃんと買えるもの作って常に前進していかないといけないから。」そしてローリーは「これから新店舗をオープンする予定があるんだけど、新店舗をオープンする時私達は、常に新しい企画を具体的に時間をかけて考えているわ。アーティストとの取り組みや、アイテムの企画、今までしたことのないディレクションをいろいろと考え、作るのよ。」新しい企画、アイテムといえば、ローリーはフレグランスをディレクションしたとのこと。間も無く日本でも展開されるとのことで聞いてみた。「フレグランスのプロジェクトを作り上げるのに7年かかったわ。最初はパーソナルプロジェクトとして始まったの。そこに家族の意見やアドバイスも加わり、自然にクロムハーツのプロジェクトとして発展していったの。私が提案したい方向性、クラフティングに混乱したりしながらも、ながい年月をかけてかたちになった。
 
今までやってきたプロジェクトの中で一番難しかったわ。とても苦労した。妥協せず拘りつくした最高でラグジュアリーなフレグランスを作る工程は、科学的な部分でも非常に難しかったわ。また、環境に優しいパッケージング、サステイナビリティ、動物質を含まないプロダクト、最高で上質なオイルを使ってテスティングしたり、フレグランスに含まれる最高のオイルを探し求めていたの。さらに、ネイルポリッシュにもフレグランスを入れたわ。それは今まで他に誰もやったことのないはじめての試みよ。ネイルポリッシュからフレグランスの香りがするのよ。私はユニセックスにしたかったから、女らしさと男らしさの両方の要素を取り入れなければいけなかったわ。そして、ふたつのフレグランスの関係性を繋げる。多くの人達はボトルの見た目で判断して買うから私達は全てゼロから作り上げたかったの。それはとても大きなプロセスだったわ。」
またフレグランスのキャンペーンビジュアルもいつも通りローリーがディレクションしたそう。
 
「美しい女優やモデルたちがまわりにはいっぱいいるわ。だけど、今回、私の子供達をモデルとしてビジュアルを撮るのが良いかもって感じはじめたの……普段、彼女達はあまりやりたがらない事もあり、悩んだけど、娘2人をモデルとして起用する事により他にはない、特別な感覚を体現することができ、様々な提案もしてもらうことができたの。やってみたら完璧な組み合わせだったわ。全体を通して、信じられない程エネルギッシュだったわ。撮影のセットの全てはクロムハーツに関わる人達が作っていて、フレグランス用に使用した全ての花の周りにステージを作ったわ。さらに、クロムハーツのファクトリーを5つの撮影のセットに分けて撮影したわ。一番最初に発表したロンドンのセルフリッジズで使用されているインスタレーションのクレートは撮影用のバックドロップに使われたものなの。だから、そのプロセスは工場で作られ、工場でパッケージングされ、発送される前に撮影したのよ。全てが繋がっているの。パリでも撮影して、ニューヨークでも撮影したわ。世界的にも繋がってる。多くの様々な設定があるの。」
 
家族・ファミリーの繋がりの強さ。それこそがクロムハーツのクリエイションの強さであることは、プロダクト、ビジュアル全てに繋がっている。リチャードに最近のお気に入りについて聞いてもそういう答えが返ってくる。「いつでも家族が最優先なんだ。そしてバイクに乗って日本を旅する事が好きだよ。バイクに乗るのが好きで、毎年ひとりでバイクで旅に出るんだ。北海道から沖縄までバイクに乗って旅をしているところ。今は20周年パーティーのために東京に4日間滞在してるからバイクは乗ってないけど。
その後はまたバイクに乗って沖縄まで旅を続けるよ。旅の途中でたくさんのお店を見て、バイクに乗っているときはたくさんのことを考えてるんだ。」そしてローリーも「子供たちと過ごすこと。あとは料理すること。安らぎ。」と答える。
いかにこのブランドがファミリー・仲間を大切にしながら成長してきたかを感じるエピソードだ。これからも、いつまでもクロムハーツの特別な哲学が続いて欲しいと思う。そしてプロダクトとともに、ファミリー愛の哲学が世界中に広がっていくことを望む人たちが集まってくるだろう。熱狂的なクロムハーツのファンはこうやって生まれていくに違いない。

 
 
 

Photo Tomoaki Shimoyama Interview Shunya Watanabe Text Takuya Chiba

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