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New Classics of the World 03
Charaf Tajer
(CASABLANCA)

New Classics of the World 03
Charaf Tajer
(CASABLANCA)

今はファッションバランスを取り戻す時
時代はニュークラシックに近づいている
シャラフ・タジェル


レトロチックかつ色彩豊かなプリントやクラシカルなディテールをミックスした新時代のラグジュアリースタイルを体現するフランス発のブランド、CASABLANCA(カサブランカ)。ファーストシーズンとなった2019SSのコレクションにてデビューを飾り、瞬く間に世界のファッションシーンで注目を集めた。
 
デザイナーのシャラフ・タジェルは、パリとモロッコをルーツに持ち、パリのストリートカルチャーの主要人物としても知られる。そんなストリートに軸足を置いた自由奔放でフレンチヘリテージを彷彿とさせる美しいクリエイションは、「New Classic」を語る上で避けては通れないだろう。
 
自信に満ちた個性と大胆な魅力を兼ね備えたデザインで世界中のファンを魅了し続けるシャラフは、次世代のクラシックをどのように捉えているのだろうか。

2022秋冬コレクションにて発表されたデジタルプレゼンテーション「Le Monde Diplomatique」。シャラフが幼少期を過ごした90年代後半のパリを表現したムービーでは女優のエマ・マッキーが起用され、ミステリアスなフレンチビューティーの姿が描かれている。モダンとレトロな都市の要素が交差する本コレクションは、まさに「New Classic」を体現しているものと呼べる。

 
 

美しさを追求する
ロマンに溢れたクリエイション

 
「僕が最も重要視しているのは、過去の素晴らしいデザインやファッションの歴史と向き合いながら、それらを独自の感性で再解釈し、デザインすること。最近ではストリートウエアが注目され、世界中のファッションシーンに影響を与えてきた。だからこそ、これからはファッションのバランスを取り戻す時だと感じているし、徐々に時代はニュークラシックに近づいてきていると思う。その役割を担っているのが僕自身だと信じているよ」。とシャラフはNew Classicの考え方について迷わずこう答えた。そんなシャラフのライフスタイルが反映されたラグジュアリーでロマンに溢れたクリエイションは、過去の記憶や旅先など様々な文化や人々との触れ合いによって生まれる。
 
「旅、建築、自然は僕のクリエイションにおいて欠かせないエレメントだね。特に幼い頃から旅行をするのが大好きだったよ。ハワイ、ロシア、キューバ、アメリカなど、常にインスピレーションを求めて世界中を旅してきたけど、いつも旅先には色彩豊かな自然と美しい建築物が共存していた。そして行った場所でしか感じることのできない独特な光、フレーバー、瞬間から感じたインスピレーションをクラシカルな服作りのアイディアと融合することで心地良さとラグジュアリーを兼ね備えたコレクションが生み出されるんだ」。
 
カサブランカのアイテムはスーツやコート、シルクシャツなどベーシックなものが多い印象だが、シャラフは素材感やグラフィックで美しさを表現する。そしてそんな彼のアイディアをビジュアル化するのが絶大な信頼を寄せているというブランド専属のペインター。
 
「カサブランカの絵柄はすべてオリジナルで、アトリエには専属ペインターが3人いるんだ。彼らは僕が旅先で感じたインスピレーションやアイディアを視覚化してくれる欠かせない存在。そのプロセスはお互いのアイディアの共有から始まり、それをもとに簡単なスケッチを作成していく。その後はプリントする位置を決めて大小さまざまなドローイングを描き、最後にカラーリングを施していくんだ」。
 
エキゾチックな夜空や雪が残る山脈、広大な海など、並外れた色彩感覚で描かれた数々の多彩なグラフィック。そこには“美しい”モノを愛するシャラフの強い思いが込められていた。
 
 

90年代後期のパリを描いた
2022秋冬コレクション

 
8シーズン目を迎えた2022秋冬では、シャラフの生まれ故郷であるパリをテーマにしたコレクションが発表された。90年代末のパリを描いたコレクションは、エールフランスのコンコルドやダイアナ妃とその恋人であったドディファイド、そしてジャック・シラク元フランス大統領が注目を集めた煌びやかな時代であり、シャラフが幼少期を過ごした時代でもあった。
 
そんな故郷への愛を表現したデジタルプレゼンテーションでは、旅の大胆さやパリの建築のデザインコードが、ル・ブルジェ空港、ココ・シャネルが頻繁に訪れたことでも知られている老舗レストラン、ル・トラン・ブルーなどの象徴的な場所を通して表現され、古典主義と現代性が入り混じる都市の姿を描き出した。
 
フレンチビューティーを鮮やかに描いたルックは、テーラードアイテムにプレッピーなプリントを施し、つば広ハット、オーバーサイズのメガネ、ウエスタンブーツといった完璧な組み合わせで、現代のラグジュアリーを表現すると同時に、90年代へタイムスリップしたかのような気持ちにさせてくれた。シャラフが重要視するのは過去と決別せず、純粋な気持ちで世界中の“美しい”モノや文化と向き合うということ。そういった自然体なアティテュードがインスピレーションへと彼を導き、モダンでラグジュアリーなクリエイションを生み出しているのだ。カサブランカのチャプターは始まったばかりだが、やがてはフレンチヘリテージとして受け継がれていく存在になっていくに違いないだろう。
 
 
シャラフ・タジェル
パリのストリートシーン、クラブシーンで活躍した後に、自らのブランドであるカサブランカを設立。パリとモロッコをルーツに持つ彼のクリエイションは世界中のファッションシーンから注目を集めている。1978年生まれ、カナダ・トロント出身。大学卒業後にエンターテイメント業界の仕事に就き、その後、ひょんなことから豪州ブランド“スビ”の米国でのローンチに携わることになる。友人から贈られたカシミヤ製ブランケットの心地よさに感銘を受けた実体験のもと、2007年には自身のブランド“ジ エルダー ステイツマン”を設立し、一躍、先鋭的なカシミヤ製品の旗手となった。現在は家族と海や自然に囲まれて、LAはマリブで日々を過ごしている。
@casablancabrand
@charaftajer
Photo Amy Lidgett
 
 
◯CASABLANCA
https://casablancaparis.com/
 
 
 

Interview & Text Shunya Watanabe
This article is included in

Silver N°15 Spring 2022

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