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6th Sanyutei Enraku Rakugo Comedian ヴィンテージウォッチはなぜ時代を超えて愛されるのか

時間を知るための道具であり、装飾品ともいえる腕時計。しかし、スマートフォンで容易に時間を知ることが出来るようになった現代において、腕時計を身に着ける意味は何か。人それぞれ理由はあれど、腕時計を身に着けることで、より時間に対して真摯に向き合うことが出来るはずだ。その行為自体が人生を豊かにするきっかけにも繋がっていく。そして、数ある腕時計の選択肢の中でも、何を選び身に着けるかも重要だ。デザインで選ぶか、時計が持つストーリーに魅力を感じるか、もしくは思い出で選ぶ選択肢もあるはず。ここでは、時を経て受け継がれてきたヴィンテージウォッチの魅力を紹介する。男たちは、機械式のヴィンテージウォッチに何故惹かれていくのか?

6th Sanyutei Enraku Rakugo Comedian ヴィンテージウォッチはなぜ時代を超えて愛されるのか

時間を知るための道具であり、装飾品ともいえる腕時計。しかし、スマートフォンで容易に時間を知ることが出来るようになった現代において、腕時計を身に着ける意味は何か。人それぞれ理由はあれど、腕時計を身に着けることで、より時間に対して真摯に向き合うことが出来るはずだ。その行為自体が人生を豊かにするきっかけにも繋がっていく。そして、数ある腕時計の選択肢の中でも、何を選び身に着けるかも重要だ。デザインで選ぶか、時計が持つストーリーに魅力を感じるか、もしくは思い出で選ぶ選択肢もあるはず。ここでは、時を経て受け継がれてきたヴィンテージウォッチの魅力を紹介する。男たちは、機械式のヴィンテージウォッチに何故惹かれていくのか?

CHROME HEARTS CUSTOM WATCH

写真に写っている商品は全て本人私物
技術が新しくなっても原点回帰することがある
三遊亭円楽
プライベートを洒落込むための腕時計に対する考え方

落語家、6代目三遊亭円楽も腕時計好きを自認している人物である。着物姿で高座に立ち、笑いを届け続けてくれる男のオフの時の腕元には、常に腕時計がある。落語家と腕時計、そして時間の価値に対しての考え方を聞いた。
「着物を着る商売だからね。普段はスーツを着たりカジュアルな格好をしているけれど、落語をする時は、着物に着替えることでスーパーマンになりたいと思っているんですよ。それに、自分がやっている仕事自体がもうヴィンテージだから、それ以外の時は、落語家らしからぬちょっと変わったお洒落をしたいと思っているんです」。
この日も、デザイン性の高いモンクレールの服をレイヤード巧みに着た姿が印象的であった三遊亭円楽。腕時計に関しても、ブレスレット感覚で選び身に付けることが多いようだ。所有する腕時計の中でもロレックスを着用することが多いという。コレクションの中から1本紹介してもらった写真のものは、クロムハーツカスタムのロレックスだ。まさに、三遊亭円楽の趣向である一風変わった腕時計と言える存在だ。「クロムハーツに凝っていた時期があって。普段着で遊びが欲しいときにブレスレットとかネックレスをよく買っていたんです。そんな時に、(ハワイ)ホノルルのクロムハーツを覗いたらこれを見つけたんですよ。ちょうど新しいブレスレットも欲しいと思っていたこともあり、よく見ると時計はロレックスじゃないですか。腕も細くてボーイズサイズが好きだから、これを買おうってなったんです。デニムを履くようなカジュアルな格好の時には、このクロムハーツカスタムをつけることが多いですね」。

三遊亭円楽
青山学院大学在学中に5代目圓楽のもとで修行を開始。前名である「三遊亭楽太郎」時代から寄席、テレビ番組「笑点」を中心に、日本中へ笑いを届け続ける落語家。2010年より6代目三遊亭円楽を襲名。

 
 

時計はロレックス、
車はベンツ、麻布に女

7本ほど所有しているというロレックス。三遊亭円楽が惹かれるロレックスの魅力とは一体何なのか。
「前に(三遊亭)小遊三さんと話していてね、『いま何時?』って俺に聞くの。それで俺は『俺のロレックスの時間だとね……』って答たら、『俺は時間を聞いているんだよ。してる時計のことは言わなくていいんだ』って小遊三さんに笑いながら言われてね。それで答えた時間もマネージャー曰く間違っていたようで(笑)。悔しかったから、『ロレックスを着ける人間はね、時間なんか気にしちゃいけないんだ』って言ってやった。一昔前は、時計はロレックス、車はベンツ、麻布に女ってよく言っていたように三大ステータスだよね。時計と車は下取りに出せるけど、彼女は金がかかるからよそうと冗談を言ったもんだ。まぁでも、時計は好みだからね。俺がロレックスを好きなのは、老舗だから。噺家も老舗。老舗っていう定義を調べてみれば、三代、100年以上変わらず繁盛している店って書いてあった。ただ長く続くだけでも駄目なんだね」。
時間を知ることはスマートフォンでもできる。だからこそ、ロレックスを身に着ける意味は、より嗜好度の高いものになっている。一方で、高級腕時計にはやはり、ステータスの側面があるため、気を付けないといけない場合もあると三遊亭円楽はいう。「パーティー用とか、お呼ばれした時に着ける腕時計も持ってて、ある時、ダイヤモンドフェイスの腕時計を着けてパーティーに行ったわけなんですよ。そしたらそのパーティーに来ていた漫才師の内海好江さんに『楽ちゃん、時計外しな。』って言われたんです。当然、『何でですか?』って聞くと、『旦那衆より良い時計していてどうするんだ』。って言われましたね。そりゃそうだよな(笑)。時計見られて、祝儀やりたくないと思われますからね。自分の中での価値観というものがあっても、社会的な価値観もあるのかと、その時に思いましたね。だから今は場所や服装に合わせられるように、随分と数を持っているんです」。
 
 

タイムマシンのように
時間や空間を作り出せる

落語家と時間の関係。そして、現在世界中の問題である新型コロナウイルス感染症の影響で変わった生活についても、三遊亭円楽ならではの時間に対する考えを話す。
「落語って、タイムマシンなんですよ。枕を喋るでしょう。自分が見てきたような話を使ってこさえて、あるいは他所から引っ張ってきてやっているうちにだんだんとやる噺が決まってくる。その噺に持っていく為に時代を遡って行く。つまり、タイムマシンがぐーっと稼動してきて、『まあまあ、こっちへお上がり。どうだい、しばらくだな。なんか良いことでもあったか?』と江戸時代になるわけですよ。新作、創作落語では、現代も出来れば未来の噺もできるわけです。例えば、火星探査の噺をすると、『おっ、見ろ。星が見えてきた。』『隊長、大丈夫ですか?』『安心しろ、なんとかあのクレーターの中に着陸できそうだ。』って、宇宙にも行けるわけです。だから、落語って1人で大勢の人を表しながら時間、空間を全部作り上げることができるタイムマシンなんだと思うんです」。確かに観客側も、噺に出てくる人や風景を頭でイメージしながら落語を聞く。あたかも目の前に光景が映し出されたスクリーンが広がるような、江戸時代にタイムスリップしたような感覚を持つこともある。そういった落語が持つタイムマシンとしての働きのほかにも、落語家としての時間も今、改めて考えるきっかけになっているという。
「歳を取ってくると先の時間が読めるだけに、今動けないことが歯痒いですね。これまでの時間を考えると、うちの師匠(5代目 三遊亭圓楽)や、歌丸師匠、圓生師匠にくっ付いて歩いた時間、一緒に会をやって頂いて楽屋でお話ししたり、高座を拝聴したこと。それから仕込みの時間や、自分が出演する時間、そんな思い出の時間があるなかで、こうやってコロナで先が見えないと今は悔しい時間を送っているね。でも、職務を忘れるな。コロナを退治するんだ。って気持ちで笑いで飛ばそうと思いますよ。だから、今は早く時間よ戻れと思っています。その言葉はね、よく飲み屋なんかで仲間と無駄話をしていて、気まずくなったり、機嫌が悪くなったりした時には言うんだよ。ちょっと時間を巻き戻そうって。お互い雰囲気が悪くなったりする時には、その話をやめて時間を巻き戻そうって。時計だけじゃなく、そういうときでも時間をリセット、リスタートすることはできると思うんです」。
 
 

時間とともに形は変わるが
中身は変えないことの大切さ

前述したファッションスタイルの話にも通じることだが、齢70とは思えない三遊亭円楽の内面的な若々しさに改めて驚く。
「落語家は、早く歳を取らないといけないみたいな感覚が俺たちの世代にはあったわけです。でも、中は年寄りなんだけど、見た目は若くいたいじゃない。だから洒落たり、格好をつけるんだよね。老いというのは、一種の汚れだと思っています。金属と一緒で身体も酸化して錆びていくけれど、心は錆びさせちゃ駄目だね。だから汚い格好をすれば他人も嫌だろうし、加齢臭がすれば誰も側に寄らなくなる。その為に朝風呂浴びたり、エステに行ったり気を遣うんだよ。やっぱり、お若いですねって言われるのが好きだね」。
落語も長い歴史の中で、変化しながら受け継がれていくもの。時間とともに変化し続ける落語の形はあるのかを聞くとこう答えてくれた。「落語は、噺を覚えるんですが、覚えたものを覚えた通りにやっていないんですよ。覚えたものを覚えた通りやるつもりでいくと、ふっと違うセリフが出てくるわけです。それはその人物になった時にふとした気づきがあるんです。それで、こう言っちゃったから即座にもう1人の自分が対応しないといけない。それがすごく面白く、お客さんにも受けるわけです。だからやる度に、何箇所か違いがある。設計図通りじゃなくて内装をちらっと変えてみたりするような感じだね。照明を変えてみたり、インテリアを変えてみたり、人物の座り場所を変えてみたりと色々できるから落語は面白いのよ。だから言われた通りやってそのままの人というのは、そこ止まりだよね。面白い連中は、みんな工夫している。昔の師匠たちに言わせると駄目だと言われるようなこともあると思うんですが、今は許される場合もある。俺たちぐらいまでの年代は、まともにやっていたんだけど、後輩たちの時代は自由になったね。逆に俺はそっちからも勉強しているね。志の輔とか喬太郎、三三を見ても芸風の違いがはっきりしていて面白いと思うね。昔は上手いか下手だったから。我々は、うちの師匠の押し出しとか、歌丸師匠の丁寧さ、談志師匠の狂気とかを学んで、俺たちの後輩世代は隔世遺伝が起きてきたわけです。伝統を紡ぎながら、そこに新しい技術が入ってきて、新しいデザインが入ってくる。ファッションにも腕時計にも言えることだけど、技術が新しくなっていっても、原点回帰する時もある。でも、俺たちは落語家というロゴだけは変えないという。それがきっと面白いんだね」。

三遊亭円楽が所有するロレックスコレクションの一部。Left_Rolex PRECISION Right_Rolex Datejust

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