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Tokyo From the World 世界のクリエイター達が考える東京の魅力

世界の目線からというテーマで東京の文化をこよなく愛している外国人クリエイターにこの街の魅力について聞いてみた。彼らのインターナショナルな視点は、我々が普段見過ごしがちな東京に潜む美しさを、再認識させてくれるに違いない。

Tokyo From the World 世界のクリエイター達が考える東京の魅力

世界の目線からというテーマで東京の文化をこよなく愛している外国人クリエイターにこの街の魅力について聞いてみた。彼らのインターナショナルな視点は、我々が普段見過ごしがちな東京に潜む美しさを、再認識させてくれるに違いない。

KOFFEE MAMEYA -kakeru-
Selected by
Joanna Kawecki (Ala Champ Magazine)


 
 

東京には美しいデザインが無数に潜んでいる
ジョアンナ カウェキ

 
アート、建築、デザインといった分野に深い関心と高い知識を持ち、インターナショナルメディア『Ala Champ Magazine』の共同創設者である編集者のジョアンナ カウェキ。2013年にオーストラリアから東京に拠点を移し、ロンドンを拠点に活動する双子の妹とともに時代を先駆けるクリエイターやカルチャーの魅力をインディペンデントな視点で世界中に発信している。東京に移住して8年の歳月が経とうとしている今、ジョアンナはどういった東京の姿に魅了されているのだろうか。


 
 

尽きることのない
インスピレーション

 
「東京はコンパクトな街だけど、クリエイティブな人たちや、信じられないような美しい空間が無数に点在している。素晴らしいデザインの数々には、尽きることのないインスピレーションを受けています。私は毎日Ricoh GR3を肌身離さず持ち歩いています。街で見つけた建築物や都会的なデザインから、日用品に至るまで、私たちのクリエイティブに影響を与えるさまざまなデザインを撮影して記録するのが好きなんです。そして、この国は未来に目を向けながらも、伝統を継承していることに気づいたんです。多くの人々が行き交う東京でも、何世代にもわたり職人さんたちが変化する環境に適応し、革新的なアイディアを生み出し続けているんです。また日本のデザインは、光と影、素材の調和、機能と形など、常に自然と向き合い、独自の美学を持って深く考えて作られていることもわかりました。そしてそれらの優れたデザインは、効率的で、機能性を求める日本人の考え方が込められていると思うのです」。
 
ジョアンナが考える自然の要素が織り混ざるデザインは、世界的なパンデミックにより観光客がおらず、街が静まり返った今だからこそ、造形美がより引き立つ。ジョアンナはそういった街で見るデザインはいつもと違った魅力があるという。
 
「青山で長くの間存在している建築物が静かな街の中で新たな魅力を放っているのを見られるのは素晴らしいことです。例えば丹下健三が設計した草月会館には、1977年にイサムノグチによって作られた素晴らしい石庭があります。それが今でも存在していることに、改めて驚きを感じました。その建物には佐藤オオキによる『nendo』のスタジオがあり、2階のカフェも彼がデザインしているんです」。
 
美しいデザインと日常的に向き合いながら毎日を過ごすこと。そういった日々の経験がジョアンナの活動の原動力となり、クリエイティブなコミュニティに影響を与えている。パズルのように点と点を結び、世界中のコミュニティを繋ぎ合わせているのだ。

東京に拠点を移す前から通っていたという『KOFFEE MAMEYA』の2号店『KOFFEE MAMEYA -Kakeru-』。ミニマルなインテリアや家具が印象的な店内はジャパーニーズモダンを体現している。店内のテイスティングカウンターの壁面に並べられたパッケージの色やメニュー表は焙煎度合いを表した、美しいグラデーションが魅力的。さらには特注のセラミック製マグカップも高いセンスを感じさせる。

 
 

東京に住みたいと思った
原点を振り返らせしてくれる

 
東京に潜む数々の素晴らしい空間や、それを支える人々との出会い。そういった日々の新しい発見を心の底から楽しんでいるジョアンナだが、その中でも彼女の原点だと思える場所があると言う。それが世界的バリスタである國友栄一が手掛けるコーヒー豆の次世代的セレクトショップとして異彩を放つ『KOFFEE MAMEYA』。ジョアンナは日本に移住する前からこの場所に魅了されていたと言う。
 
「日本に拠点を移す前から、東京を訪れる度に通っていたカフェがありました。表参道の大通りから逸れた閑静なエリアにひっそりと佇む、美しいデザインの隠れ家のようなカフェ。そこは一度行くと必ずまた行きたくなる程コーヒーが美味しかったんです。それが2011年に國友栄一さんが最初に手掛けた伝説のカフェ、『OMOTESANDO KOFFEE』でした。その後一度閉店したんだけど、2017年に世界初のコーヒー豆のセレクトショップ、立ち飲みカフェ『KOFFEE MAMEYA』として再び開業したんです」。
 
そして今年1月、その2号店であり、清澄白川に初のカフェ業態としてオープンしたのが『KOFFEE MAMEYA -Kakeru-』だ。ミニマルなインテリアや家具で統一された空間は、14SD(Fourteen stones design)の林洋介氏がデザインを担当。かつて倉庫だった建物に、石灰岩、木材、黒大理石、モルタルなどを用いて見事な建築的スペースを生み出した。店内は、27席のカウンターが黒一色の作業台を囲み、入り口付近の豆の販売カウンターの壁面には、ライトローストからダークローストへと色別に並べられたパッケージの美しいグラデーションが視線を釘付けにする。さらにセラミック製のマグカップや田島硝子による黒いグラスなど、細部へのこだわりは目を見張るものがある。そして店の主役を担うのがコーヒーのフルコースだ。まるで高級レストランのような空間、一流の抽出技術、サービスが記憶に残る体験を提供している。
 
「清澄白川周辺を訪れた際は、必ず『KOFFEE MAMEYA -Kakeru-』に行きます。オーナーの國友さんとヘッドバリスタの三木さんがとても素敵な方々で、コーヒーについてたくさんのことを教えてくれるんです。それは私にとってすごくインスピレーショナルなことなの。彼らはコーヒー豆に芸術性を追求しているんです。カウンター席では、実際に作業している工程を鑑賞できたり、バリスタと会話することができる。ここは世界でも唯一無二の存在で、日本のデザインの素晴らしさが凝縮された場所。このお店にくると私が日本に住みたいと思った、当時の記憶が呼び起こされるんです」。
 
東京という異国の地で生活を送り、日本の文化やデザインに深い愛情を注いでいるジョアンナだからこそ、私たちが普段見過ごしがちな東京の建築や空間に感じられる魅力があるようだ。そんな彼女のインタナーナショナルな視点から見る東京は、優れたデザインで溢れていた。
 
 

Joanna Kawecki
オーストラリア出身。2013年から東京在住。デザインジャーナリストとしての活動や自身のメディア「Ala Champ Magazine」を双子の妹とともに運営するほか、Ambush Universeのエディトリアルディレクター、コンサルタントエージェンシー、Champ Creativeのディレクターを務めるなど、世界中を股にかけ活躍している。
 
 
 

Photo Yusuke Abe Edit Mikuto Murayama Interview & Text Shunya Watanabe

 

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