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TAKA Ishii Gallery / Takayuki Ishii 02 Interview about “Art & Product”

TAKA Ishii Gallery / Takayuki Ishii 02 Interview about “Art & Product”


 
 

まず会って話して人を知る
平等な関係で作家と繋がる

石井孝之がタカ・イシイギャラリーを開廊したのは1994年のこと。オープニング展ではラリー・クラークの個展を行い、その後『タルサ』を刊行。荒木経惟、森山大道など日本を代表する写真家をはじめ、本誌第2号でインタビューした五木田智央ら画家、また新鋭アーティストも多数レプリゼントする。自身のギャラリーで展示を行なっていくこと、石井が気になるものをギャラリーという場を介して世間に提示するという行為そのものが、今回の企画趣旨と合致している。世界中から支持され、今年で25周年を迎えたタカ・イシイギャラリーであるが、どんな関係性で作家と繋がり、アートを捉えているのだろうか。また、ギャラリーの今のコンセプトは何か「コンセプトも開廊当初はあったんですけど、25年間続けてきた中でタカ・イシイギャラリーの在り方も多様化してきたので、はっきりこれとは言いづらいんです。作家にしても様々な人が在籍しているわけですからね」。冒頭に紹介した荒木経惟、森山大道らは初期からレプリゼントしている作家であり、4半世紀にわたりタカ・イシイギャラリーで作品が扱われている。そうした作家との関係について、もっとも重視するのは「この人とならずっと一緒にやっていけるだろう」という人間性だと言う。もちろん、作品の良し悪しやギャラリーの雰囲気に合っているかどうかを踏まえたうえでの話だが、まずはアーティストと実際に会って面と向かって話をして、長い付き合いができる人であるかをお互いに確認する。「(アーティストとの関係性は)結婚生活のようなもので、離婚したくはないですから。長くお付き合いしていける人なのかを、会って話して決めるようにしています。展示や販売に関してもイーブンな関係ですし、ギャラリーからも意見を言わせてもらうこともあります。その良好な関係を保ったうえで、お互いに成長していけるような関係でありたいですね、ギャラリーとアーティストは」。
 
 

アートを取り扱う際に思う
ギャラリーとしての考え方

石井がギャラリーで扱う作品には何らかの統一されたテーマなどはあるのだろうか。「これも今では言いにくい部分がありますね。全体的に統一されたものがあるわけではなく、作品それぞれ、個々に魅力があるので難しいんです。レプリゼントしているアーティストが4、5人だった時代には、共通するものもありましたけど、現在は70人近くいるわけですからね。本当に、それぞれ心を動かされる部分があるので何とも言えないですよね。全体の表面的な部分を通して見れば、何か共通するものがあるのかもしれないですけれど。ただ、写真に関してはストレートフォトしか扱っていません。個人的に作り込んでいく写真があまり好きではないので。そう言えば、そこは統一していますね」。今では、関係を持つアーティストを知るのは国際展であったり、人からの紹介だったりするそうだが、当初は石井自らが声をかけていた。「森山(大道)さんは、当時のアサヒカメラの編集長に紹介してもらってお話しをして、そこからずっとですね。荒木(経惟)さんは当時、新宿のDUGというバーに毎日いらして。そこがミーティングの場所でいろんな編集者やモデルも来ていましたね。その場で撮影になることもありました。今では言えないこともあったり。当時のそういう光景を私はぎりぎり見れたんです」。石井は作品を扱うアーティストの選択に関して、国内での反響はあまり気にしていないそうだ。「考えてやっていたら、もうちょっと売れているのかもしれないけど(笑)。日本で受け入れられるかどうかという考えは頭の中にないですね。ギャラリーのお客さんは約70%以上が海外ですし、作品を前にした時の自分の感応を優先しています」。ただ、そんな中で国内でも大きな反響があったのが五木田智央の展覧会だったそう。その際にこれまであまり関係を持ってこなかった方々からも問い合わせを受け、石井も悩むことがあったそうだ。つまり、アート業界における転売問題についてだ。「家具と違って誰でも買えるわけじゃないですからね、アートは。それこそ作家が身を削って制作したものなので、その他のものとちょっと意味合いが違うので。マーケットを作っていくためには売らなくちゃいけないとは思うんですが、買ってすぐに転売するような方には売りたくないんです。そうなると、作品をお渡しする方のこともよく知らなければいけない。販売をお断りするケースも、どうしても出てきます。それでも転売されてしまうことがあるのが現状です。値段が高騰したら売りたくなるのは人の性質だと思うんですけど、そこで踏みとどまって持っていてほしいですね。そうすれば次の段階へいけると思うのですが」。作家と繋がるタカ・イシイギャラリーの変わらぬ思いが、この言葉に凝縮されているように感じられた。
 
 

石井 孝之
タカ・イシイギャラリーオーナー。
1963年東京生まれ、ギャラリーを開廊したのは1994年のこと。
大御所から新鋭気鋭まで、現在は約70人の作家をレプリゼントしている。
takaishiigallery.com

 
 
 

Photo Naoto Kobayashi Interview & Text Ryo Tajima

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