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RITMO ALEGRE Tomoo Gokita

Born in 1969 in Tokyo.
After working as a graphic designer and illustrator, he now works as a painter.
There are many black-and-white color schemes, and a person's picture hiding his face is a feature.

RITMO ALEGRE Tomoo Gokita

Born in 1969 in Tokyo.
After working as a graphic designer and illustrator, he now works as a painter.
There are many black-and-white color schemes, and a person's picture hiding his face is a feature.

2018  Acrylic gouache on postcard  14 x 8.6 cm © Tomoo Gokita  Courtesy of Taka Ishii Gallery

モノクロ、カオナシ、偶然と必然による芸術形態

「異物感、異様な感じっていうのかな。でも、あんまりコレやってるとな……。顔、隠すにしてもグロテスクにならないようにしなくちゃいけねえなって、最近じゃ思うんですよ」。五木田氏にとっては、もう何度目であっただろう。「なぜ、対象の顔を隠すのか」という質問。「ええっとね。プロレスのマスクが好きとか、アフリカの仮面が好きとか。そういうのも、まずはあります」という前置きを経ての言葉であった。この後に拳銃自殺に失敗して顔を失ったアメリカの少女の話が何気ない会話として続いた。そのニュース記事を見たときに、この手法に思うことがあり、という話の流れだ。11月に香港でオープンしたSHOP Taka Ishii Galleryにて展示販売されていた作品の1つ。同ショップはギャラリーとショップ、双方の特徴を持ち合わせる新たなスポット。その、こけら落としとして五木田氏の作品が2019316日まで展示されている。今ではU.S.、ヨーロッパと世界中で展覧会が開催されているが、その発端となったのは、2000年に発表した作品集『ランジェリー・レスリング』だ。「当時、グラフィックデザインが嫌になっちゃった時期でさ。あれにしたって本を作るために描いていたわけじゃなかったんだよ。毎日、絵を描き続けたいけど金がない。だから紙と鉛筆とかでやろうと思って。必然的に白黒になったんですよ。そしたら本にしたいって人が現れて、展覧会を海外でやらないかって話がきて。それも紙にドローイングって企画だったから、全部モノクロの方向性にしちゃって」。五木田氏の作品はモノクロで表現されているものが多い。「インタビューとかで、なぜ白黒なんですか?って聞かれたときに、『世の中には色が多過ぎる』なんて答えたこともありますけどね、そんなものは建前というか。ただ続いちゃっただけなんですよ。でも、もう限界かな、これ以上モノクロじゃ表現できないかなって思う度に、また新たな発見があるんですよ。白黒でもまだできるなっていうのが続くんですよね。だから、下手にカラーにしなくてもいいのかなって。うん、徹底的に白黒でもカッコいいのかな、と思う自分もいますね」。

 

五木田氏のルーツを辿ると、小学生の頃に漫画を模写していたことに着地する。当時は内容よりも絵に惹かれ、とにかく描きまくっていた。当時の漫画と言えば、少年ジャンプ。同時に、兄の影響から横尾忠則氏や、グラフィックデザイナーに触れてきた。そしてデザイナー/イラストレーターという時期を経て、前述の『ランジェリー・レスリング』に至る。レコードとキャンバスとグワッシュに囲まれた作業場は雑然とした景色なのに、凛とした空気が漂っている。スピーカーからは五木田氏セレクトの音楽が流れ続けている。影響を与えたアーティスト名は?という問いに「海外に行ったら、まずレコード屋を探すくらいだから。挙げたらキリがないけどYMOはカルチャー全般でありますねえ。小学生の頃に出会えたのが大きい。 だからジャケット(※)をやれたのは本当に嬉しかったですよ。その影響もあって、現代音楽、ノイズ・アヴァンギャルドが好きでね」。

 

会話をしている最中にフワッと油の匂いがしてくる。そうだ、グワッシュについて 聞かなくては。五木田氏はなぜ、この絵の具を好むのか。「それも偶然。グワッシュも本来はキャンバスに描くには向いていない絵の具なんだよ。厚塗りするとヒビが入ったり割れたりするし。でも、めちゃくちゃ乾きやすくて、それがオレの性に合っていたんだよな。専門学校の頃は油絵科だったから、10年前くらいに油絵具でやってみたんだけど、時間がかかり過ぎちゃってさ。全然、先に進まねぇの!もう、やめよう!ってなっちまいましたよ()」。五木田氏は1作品をスピーディに描きあげる。但し、それはうまくいけばの話。描いてみて、うまくいかないときは考えて、いくら考えてもダメであったらキャンバスを真っ白に戻して。それで「もっとイライラしたときは、もうカッターで切っちゃう。でも、もったいないからね。できるだけそうしないようにしてさ」。これだけの規模感で活動しながらも、五木田氏はアシスタントを取っていない。「海外で話すと驚かれるけどね。キャンバスを張るにしても、自分でやった方が早いしうまいんですよ。疲れない?って言われますけど、自分でやるんだよ、そんなの!って。大勢のアシスタントに囲まれて工場みたいなスタイルで描くのがカッコいいと思わない。オレは1人でやっている方が好きなんですよ。ペティボン(Raymond Pettibonのこと)とか。彼のアトリエなんて、オレのところより散らかってる!そこに感動したんですよ。本で見たんだけど、同じだ!きたねぇ!紙だらけ!って。そっちの方がいいよなって」。こうやってインタビューしている最中にも次の展示の話が。「ちょっと休もうよって思うんだけど、結局、忙しくしてるのが性に合っててさ。何もないと昼からビールを飲んじゃいそうになるんだよな。だから、やっちゃおう、描き続けようって」。1つの絵が描き上がる瞬間について「絵の終わりはね、向こう(作品)がもういいよ、終わりだよって言ってくる、そんな気がするときがある。うん、これで終わりって。ちょっと面白いんですよね。あるんですよ、もういいやって」と五木田氏は話す。そうやって、次の作品作りへ。すなわち、絵を描き続けていく。

 

 

五木田智央(ゴキタトモオ)

1969年、東京出身。90年代後半に紙に鉛筆や木炭、インクで描いたドローイング作品で注目を集め、現在も東京を拠点に活動中。香港のSHOP Taka Ishii Galleryにて 2019316日まで、作品を展示、販売しているので、現地を訪れた際は是非。 tomoogokita.com

 

 

※YMOの結成40周年記念コンピアルバム『NEUE TANZ』のアートワーク。TOWA TEI氏が選曲、監修している。

 

 

Interview & Text Ryo Tajima

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