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Places for the Senses これからの東京を担う
感性を刺激する場所

洋服屋やレコードショップ、飲食店から美術館まで、あらゆるジャンルの店や施設がひしめき合う東京。だからこそ考えて訪れる場所を選ばなければ、その空間で過ごす時間や経験が自分のためにならずに終わってしまうことも少なくない。そこでこの企画では、様々な情報や魅力的な場所をよく知る南貴之(クリエイティブディレクター)と村山圭(デザイナー / ディレクター)に厳選のスポットを紹介してもらう。彼らはどのような考えで訪れる場所を選ぶのか?そのアイディアを知ることは、これから東京に出かける時のヒントになるはずだ。

Places for the Senses これからの東京を担う
感性を刺激する場所

洋服屋やレコードショップ、飲食店から美術館まで、あらゆるジャンルの店や施設がひしめき合う東京。だからこそ考えて訪れる場所を選ばなければ、その空間で過ごす時間や経験が自分のためにならずに終わってしまうことも少なくない。そこでこの企画では、様々な情報や魅力的な場所をよく知る南貴之(クリエイティブディレクター)と村山圭(デザイナー / ディレクター)に厳選のスポットを紹介してもらう。彼らはどのような考えで訪れる場所を選ぶのか?そのアイディアを知ることは、これから東京に出かける時のヒントになるはずだ。

The Hasune Farm & Plant

Select Kei Murayama


写真下の黒い大きなプレートは、群馬の赤城牛と人参2種(金美人参とワンディッシュキャロット)。ソースは人参の葉を使ったサルサベルデ。白いプレートは、ズッキーニ3種(パッローネやグリーンパンツ)とスッキーニの花。黒い小さなお皿は、酒粕のアイスと、パクチーとミントのシャーベット。ソースはビーツとイチゴを発酵させたもので、パクチーの花を添えている。全てハスネファームから採れた野菜を使っている。

 

農と食を繋げる
実験的レストラン

「ハスネファームは江戸時代から代々続いている農家で、今は有機野菜を作っていらっしゃいます。そこで採れる野菜は直売所やeatrip soilなどで販売されているのですが、普段は市場には卸せないような収穫期を過ぎた野菜やB品、捨てられてしまうような部位や花などを実験的に調理して提供する場として、PLANTというレストランが生まれました。ファームからは徒歩数分の位置にあるので、料理で使用されている野菜の生産背景が目に見えるようになっています。シェフは元eatripの白石貴之さんたちが、週替わりで料理を作っています。単なるレストランではなく、ファームで採れた野菜の可食部を増やす実験的な場所として、普通だと食べない食材を蘇らせていることは素敵ですよね。というのも、野菜の根っこや花などのように、スーパーなど既存の流通システムでは省かれてしまう要素が多々あるんです。そして何よりも、東京で育った野菜を東京で食べるという、農と食を繋げる場としての切り口がとても面白いです。東京の23区内に畑があること自体が貴重ですし、いわゆる都市型農業の可能性を広げていることが、生産者と消費者をより密接に繋げる活気的なシステムを生んでいると思います」。
 
Hasune Plant
東京都板橋区蓮根 1-14-22
営業時間 完全予約制
ランチ 平日11:30-/13:30-の2回制。土・日・祝 12:00-の1回制。ディナー 18:00-の1回制
定休日 月・不定休
 
hasuneplant.com
 


TOPMUSEUM
A New Fine Day: Shinoyama Kishin

Select Kei Murayama

作品を並べる段階から篠山氏と話し合い、写真ごとのサイズや間隔の検討を行っている。シンプルな白地の背景壁に額装されていない写真が浮かんでいるような演出は、写真そのものをより深く伝える方法として、空間演出としての写真ではない展示を検討した結果だ。

日米安保条約反対デモが盛り上がった60年代の写真。篠山氏自身も当時の日大写真部の同級生に連れられて学生デモに参加していたのだという。

〈TOKYO NUDE〉1986-92年
1990年にシノラマという多面を接続して表現する映画の技法を写真に応用し活写したパノラマ写真。3台のモーター付き35mmカメラを連結して撮影。東京を様々な角度から捉えてきた篠山氏ならではの写真表現。

 

東京が繰り返してきた新陳代謝に触れ
これからの未来を考えるきっかけを

「東京都写真美術館で現在行われている、写真家篠山紀信さんの60年以上の写真史をなぞった展覧会の会場構成を縁あってお手伝いさせていただいているのですが、この展覧会には篠山さんの『東京』にまつわる視点が随所に散りばめられているんです。60年代に撮られた作品から展示が始まるのですが、日米安保闘争にまつわる作品であったり、東京の風景というわけではないものの、その時代ならではの熱量自体を捉えている印象があります。東京ならではのカルチャーシーン、雑誌の『明星』や当時のアイドルや芸能人など、大衆的な側面にも触れていきながら、10年という時間軸ごとに東京を捉えていくことができる展示だなと思っています。一番新しくて2020年の東京の写真もあるのですが、展示を通して見てみると東京という街がどんどん新陳代謝して変わってきた過去があることを再認識させてくれるんです。日々過ごしているだけでは気づかないような、長い目で捉えた時に初めて気付く東京の新陳代謝を目の当たりにすることができるんですよね。実際展示室でみると、作品の数はそこまで多くはありません。会場で配布されるハンドアウトと合わせてじっくり見るとより多くの情報量を得られることとは思います。実際に展示へ足を運んでみることで、作品の一部を通じて、東京の過去を知るきっかけが得られるし、東京という街を見つめることもできるんだと感じられような展示になっていると思います。過去を知るからこそ、見出せる未来がある。東京の新たな可能性を考えていく上で非常に重要なインスピレーションを得られるんじゃないでしょうか」。
 
▼場所詳細
東京都写真美術館「新・晴れた日篠山紀信」展
東京都目黒区三田1-13-3
会期 2021年8月15日(日)まで
時間 10:00-18:00(オンラインによる日時指定予約[推奨])
会場 東京都写真美術館 3階・2階展示室
 


The Japan Folk Crafts Museum

Select Kei Murayama


 

後世に繋げるための
建築物の活性化

「民藝という美の概念を生み出した柳宗悦のもと、1936年に開設されたのが日本民藝館です。収集している作品はもちろんですが、今回注目したいのは、この建物が今回の改修工事によってもともとのかたちへ生まれ戻ったということです。大展示室の床はフローリングから栃木県の大谷石に敷き替えられ、壁には静岡県産の葛布が用いられました。空間として深みを増したことで、民藝作品がより美しく見えるよう工夫されています。この改修の重要なポイントとしては、歴史的な建築物を代謝しながらも後世にも残していこうという想いにあると思います。創設者である柳宗悦が当初設計した旧大広間を踏襲したこともあり、改修により上書きではなく、原点に戻っています。新しく建て直すこと以上に、民藝館のように同じ場所に変わらず在り続けることも建築の重要な役目なのではないでしょうか。このように建築を新陳代謝させていくという考え方そのものが、これからの東京の街づくりに必要とされていると思います。また、最近はコロナの影響で地方に歴史的な建築物を見にいくことも難しくなっています。そのような時代だからこそ、庭の緑や自然光の美しさ、四季折々の変化を東京で感じることのできる場所として、これからも時と共にその貴重さを増していくのではないでしょうか」。
 
▼場所詳細
日本民藝館
東京都目黒区駒場4-3-33
開館時間 10:00-17:00
定休日 毎週月曜日 03-3467-4527
 


LIKE

Select Kei Murayama

LIKE内にあるステージ。スピーカーはKENRICK SOUND Model 4344、その他音響機材も一流のモデルを揃えている。ライブで来てくれた人に気持ち良く演奏してもらうため、抜かりのないセッティングにしたという。

店内の奥のスペースは吹き抜けの天井が気持ちいい。1日を通して自然光が入り込む。オーナーの原さんはこの空間を見てすぐにここへ出店することを決めたそう。

LIKE自慢の多国籍料理。麻婆豆腐と子羊のロースト、ひよこ豆のフムス、インドパン、鯖のシャルドネビネガーマリネとパクチーサラダ。どの皿にも少しずつ異なる国のエッセンスが融合されており、見て楽しく食べて美味しく魅力的な一皿となっている。

 

料理との時間をもっとカジュアルに
東京の新たなる憩いの空間

「もともとシェフの原さんとは渋谷のロジウラというビストロに通っていたことから仲良くさせていただいてます。粋な料理とナチュールワイン、レコードで聞く音楽が交わる場所として、ロジウラにはすごく好感を持って今でもよく通っています。白金のLIKEは原さんがさらに料理・ワイン・音楽の要素に力を入れ、より大きなフィールドに発展を遂げたお店だと思っています。特に音楽の部分は大きいです。他の店舗はレコードで音楽をかけていたような場所だったのですが、今度は店内にステージまで作ってしまった。料理を食べる場所であるという前提から、料理を含むその時その場所での時間を楽しむ空間になっているなという印象を感じています。毎日のように演奏されているわけでもないし、時にライブイベントがあるといったような力み過ぎないカジュアルな感覚も好きですね。音楽と食事の双方を楽しむ場所ってどうしてもかしこまったような雰囲気のある場所が多いと思うんですが、LIKEはもっともっとカジュアル。そのカジュアルな印象を出すために多国籍な料理も一役買っています。LIKEの店名も、“Like a chinese”とか“Like a french”っていう多国籍な料理を想像させるフレーズから取っていると原さんが仰っていたんですが、麻婆豆腐や、担々麺が売りだったり、ナイフとフォークの世界だけではない柔軟さがある。店に集まった友人たちと、ゆっくりくつろいだような感じで過ごせる貴重な場所。雑多な感じというかカオスな感じがすごく東京らしいなと思いつつ、これからこういった形態のお店が増えていく先駆けのような存在であると思っています」。
 
LIKE
東京都港区白金台4-6-44 BIOTOP 3F
営業時間 11:30-22:00(L.O.21:00)
定休日 月曜および毎月第2、第4日曜
03-5422-8183
 
 
 

Select Kei Murayama Photo Yu Inohara Riku Ikeya Text & Edit Shohei Kawamura
Yutaro Okamoto

 

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Silver N°12 Summer 2021

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