アートとファッション、そして音楽を繋ぐキーマンとしても知られるヨシロットン(YOSHIROTTEN)。世界トップクラスのブランドへグラフィック提供をしたり、今月頭にはエルメスによるインターネットラジオ局『RADIO HERMÈS』にて、アーティスティックディレクターという肩書きでグラフィック・空間デザイン・映像まで総合演出を担当した。「色は変幻自在。だから面白い」。そう語る彼の作品には、一貫してそのアイデンティティが反映されている。
ジョンローレンスサリバン、アンブッシュなど、錚々たるブランドのグラフィックを手掛けたことでも知られるヨシロットン。最近ではドリス・ヴァン・ノッテンへグラフィック提供をしたことでも注目を浴びた。「2017年に蜷川実花さんと一緒に制作したZINE“NEW NOIR2”という作品があって、バッキバキの特色で作ったんですよ。それを 海外限定で発表していたのですが、それをドリスが実花さんを通して知り、気に入ってくれたみたいで。2020年の春夏コレクションでグラフィックとして使ってくれました。すごく嬉しかったです」。
ヨシロットンの作品はどれも色鮮やかで強い発色が印象的だが、実はモノクロ作品に傾倒した時代もあったという。「デヴィッド・ボウイ、イアン・カーティス、ディスチャージ、ジョニー・サンダース、パティ・スミス。10年前、好きなミュージシャンの写真をベースに、コズミック感を加えて本を作ったりしていました。その頃はとにかくモノクロにハマっていて、この作品に関してもすべてモノクロで作りましたね。でも次第に色のある方が好きになっていったんです。昔は平面のグラフィックだけを作っていたのが、今では空間作りをするようになったのも影響して いますね。どんな色が人々の脳や心に響くのかを深く考えるようになりました」。