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HAJIME SORAYAMA Interview New Exhibition SEX MATTER

HAJIME SORAYAMA Interview New Exhibition SEX MATTER

ワタシは光の反射と透明感をずっと描いている

DIORとのコラボレーションやダニエル・アーシャムとのコラボレーションなどで昨今大きな話題を作っている空山基。そのキャリアは50年にも及び日本を代表するアーティストとして世界的に有名だ。海外では美術の教科書に載っていることもあり海外アーティストからのリスペクトは並々ならない。代表作とも言えるセクシーロボット、ソニーのAIBOなど記憶に残る作品たちをはじめ空山の存在は昨今のファッション界からの熱烈なアプローチもあり、今再び輝きを増している。
そんな空山基の新作個展が3月14日より始まった。
 
― 今回の新作はよりアグレッシブになったと感じました
 
要は元々春画だとかポルノチックなものをずっと描き続けてきたんだけど、エロはダメだと言われてきたから、じゃあロボットならOKなのかって言うので描いたの。そこがワタシの卑怯なとこですけど(笑)。(ギャラリーの)NANZUKAが個展用に、セクシーロボットの新作を10点描いてくれって言うから、嫌がらせでモロ過激なヤツを描いてやろうと思ってね(笑)。あいつが捕まったらザマアミロって(笑)。でも今は新型コロナで大変だから、お役所関係もワタシみたいなザコに関わってられないかもだけどね、笑。ただ、ちゃんとね、ワタシなりの思想や研究とかいろんなものが入ってるんだけどね。例えば、これは(左作品)岩清水っていうタイトルで、日本伝統の四十八手の中の岩清水という体位なんですよ。だから左腕に書いてある。それだけじゃなくて、インディージョーンズで「聖杯」ってのが出てくるじゃない?この女のロボットはその象徴で、聖水を入れる器なのよ。だから男の方には神聖なささげものという意味のラテン語SACRILEGUSと書いてある。みんなは、ただのエッチなロボットの絵としか思ってないかも知れないけど、とんでもないものを描いているのよ。

 
― それを四十八手という日本的なものと合わせて
 
そうそう!そういうことです!岩清水。ロボットって欧米人から見ると日本的なんだって。だからDIORでキム・ジョーンズがワタシの作品と桜を一緒にしてショーをやったんだよ。そういうのが頭にあったから今回の新作はロボットと春画という「日本的なもの」のハイブリッドなの。
 
― 春画という伝統的なものとロボットという未来的なものをハイブリッドしているんですね
今回のロボット春画を描く前に、北斎の絵とかを研究して、同じポーズの同じシチュエーションの絵をたくさん描いてるのよ。50、60枚くらいあるのかな。ただ、評論家とかアカデミックな人たちからすると、北斎の春画はいいけど、ワタシが描いたリアルな絵はダメだって言うのよ。なんでダメなんだ?って聞いたら春画は何百年も経ってるからいいんだって。春画だって元々はポルノなのに、100年200年経つと価値が出るのよ。初めはみんな排他的なんだよね。でも新しいもんなんて、みんな罰当たりだったりするもんなのよ(笑)。
 

― 面白いですね。本当にストーリーが“深い”ですね
 
不快!?罰当たりだからねー(笑)。今の話はね普通コレクターが買ってくれたら説明してあげる内容なのよ。そうするとね、いい加減に描いてても、空山が描くものは多分すごい意味があるんだろう、って思ってくれるのよー(笑)。でも、そもそも飲尿させられて勃起してるところがすごいだろ?まあ、ろくなもんじゃないよ(笑)。
 
― でもそんなろくでもないことを、このクオリティで、しかもロボットで表現しているということが素晴らしいですね
 
追い詰められてるだけだよ。ロボットなら発表できるってNANZUKAが言うから、駆け込み寺みたいなことでロボットを描いてるんです。SEXがなければ我々は生まれてこないのに、どんどんタブー視されてくから、ワタシは抵抗勢力なんです。

 
― そもそもなぜロボットで描くことになったんでしょう?
 
金属フェチなんですよ。金属にエロチックとかセクシーを感じるの。だから自分の中でエロティックなものを表現するのには合ってるんでしょうね。小学校の頃、学校から帰るとき鉄工所に寄り道しては、鉄の削り出しをずっと見てたの。鉄工所の親父に気持ち悪がられながら導線とか拾い集めてたのよ。今でいうと地下鉄のシルバーの電車が連なってくる時、真っ正面から見るとクネクネ曲がって向かってくる感じがエロチックなんだよね。そういうフェチがあるのよ。あのギラギラに光ってる感じを見てエロチックだって思わない?そんくらいなら分かるかなあ?

 
― 光とかは思うかもしれませんね。空山さんの作品は光を感じますね
 
ワタシは基本的には光の反射と透明感をずっと描いているから。本物のクロムとか金属で作れば光が反射するのは簡単なんだけど、私は絵の具で描いているから。デジタルでデータ化すると透明感はなくなっちゃうんだけど、絵の具だと透明感があるんだよね。絵というファンタジーの世界で透明感と光を描くっていうのは自分のライフワークだから。(絵を指して)ホラ、透明でしょ?
 
― 透明だし、光がありますね
 
元々、春画も光が描けなかったからね。要は自分たちで光を作れなかった。今は写真とかモニターで写っている光をみんな光の記号として分かるじゃん。だからワタシの絵は2、300年前の人にはわからないはずなんだよね。そういう光の表現の仕方や記号の入れ方がわからないから。そう言う意味では、ワタシの作品はいろんなところに記号を入れてるだけなのよ。質感をロボットだよってことにして逃げてるけど、本当はいやらしい岩清水の体位を描いてるだけだからね(笑)。そうするとみんなは未来的だとか、好き勝手に解釈して勘違いしてくれるんですよ(笑)。
 
空山氏の驚異的な画力と、作品に忍んでいる遊びの美学を、実際の目で確かめてほしい。天の邪鬼と自らを言う通り、シャレや皮肉をたっぷりと含みながら、光や質感のリアリティに迫ることによって、圧倒的な世界観を生み出している。

空山の描く過程を見ることのできる貴重なブックレットがリリースされたこちらは完成前の色校正。


 

空山 基 そらやま はじめ

1947年2月22日生まれ、73才。1971年よりフリーランスのイラストレーターとして独立。その後エロティックでメタリックな「セクシーロボット」のイラストなどで世界的な評価を得る。またソニーのAIBOのデザインも手がける。最近ではDIORのショーでセクシーロボットがフィーチャーされるなどハイファッションとの協業でも話題となった。

 
 
 

Photo Tomoaki Shimoyama (portrait / landscape) Interview & Text Takuya Chiba

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