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Creative Cyclists
Ryusuke Eda

自転車が新たな
ワークスタイルの
移動手段

天才物理学者であるアインシュタインは、かの有名な相対性理論について自転車に乗りながら考えていたという。彼のように、新たな発見や価値となるアイディアを生み出す者をクリエイティブワーカーと呼ぶのかもしれない。それから月日は流れ、現代では車の自動化運転も現実味を帯びている。そのような時代にも関わらず、現代に生きる多くのクリエイティブワーカーもまた自転車に乗っている。なぜそのような職種の人たちは自転車に乗り続けるのか?そこにはクリエイティビティを刺激するヒントがあるに違いない。

Creative Cyclists
Ryusuke Eda

自転車が新たな
ワークスタイルの
移動手段

天才物理学者であるアインシュタインは、かの有名な相対性理論について自転車に乗りながら考えていたという。彼のように、新たな発見や価値となるアイディアを生み出す者をクリエイティブワーカーと呼ぶのかもしれない。それから月日は流れ、現代では車の自動化運転も現実味を帯びている。そのような時代にも関わらず、現代に生きる多くのクリエイティブワーカーもまた自転車に乗っている。なぜそのような職種の人たちは自転車に乗り続けるのか?そこにはクリエイティビティを刺激するヒントがあるに違いない。

寄り道や遠回りができることで
新たな発見を与えてくれる
 
江田龍介
街と溶け合いスポットを探りながら漕ぐ

90年代のクロスカルチャーをベースとしたモダンウエアを展開するバル。同ブランドのデザイナーを務める江田龍介は、10代の頃からピストバイクで東京を駆け巡ってきた。時に激しく、時にゆったりと漕いできたそのサイクルライフは、その時々の彼の生き方を象徴的に映し出す。新たな発見や刺激を求め、ストリートで自転車を漕ぎ続けているようだ。
 
 

街の変化に敏感になる

「昔はドロップハンドルで、ギア比も重く、スキッドで止まるみたいな乗り方をしていました。急制動や急発進をするのではなく、街の血液のように循環して止まらずに運転する。その方が渋滞や事故も少なくなるっていう考えがメッセンジャーや自転車乗り界隈にあったんです。そうやって漕いでいると、街と溶け合うような感覚になるのが気持ち良くて。でも、あまりにも乗りすぎて腰にきちゃって。だから今は、自宅から事務所までを流して乗るぐらいがちょうどいいんです」。
アグレッシブな乗り方ではなくなったものの、今の自転車のスピード感だからこそ得られるメリットもあるようだ。「自転車だと割とどこにでも停められるからいいんです。本屋でも洋服屋でも、気になったら立ち寄れる。ふらふら街を漕いでるだけでもいろんな発見がありますね。目的地までどの道を通っていくのかをイメージすることにもワクワクしますし。途中で寄り道したり、あえて遠回りしてもいい。そうすることで新たな発見をすることができるかもしれないですよね。自転車だからこそ、そのような利便性や行動範囲の広がりがあると思います。NYのアーティストであるフューチュラなど昔からのグラフティライターは、若い頃からずっとピストに乗ってメッセンジャーをしながら街のスポットを探っていたそうで。その話に痺れて以来、そういう感覚で乗るようになりました。自転車は街の変化を敏感に感じられて楽しいです」。街のスポットを探りながら移動する。そうして新たな発見に出会うことができると、自分の興味の幅が広がるきっかけにもなることは間違いない。
 
江田は自転車に乗ることで、ストリートから様々な刺激を受けてきた。街と一体化するかのようにピストを漕いできた彼が、「都市生活に順応するウエアのサポートとグラフィックの供給」というコンセプトをバルに掲げていることにもうなずける。実際、バルは撥水や透湿に優れたレイヤー生地や、暴風性を高めたフリースなどをアイテムとして展開している。テクニカルな機能素材を用いることは、江田自身が街中によくいたり、自転車を漕ぐことから影響されているのかもしれない。
 
また、自転車好きが高じて、サイクルショップのCARTEL BIKESとタッグを組んだオリジナルの自転車を過去に発売している。まさに趣味が仕事となったその背景には、長年一貫してピストバイクを組み続けてきたノウハウがあるからこそだ。改めて江田はピストの魅力をこう語る。「ピストって、レンチと六角の2つの工具があればどこでも調整ができるんです。パーツ数は少ないし、ギアは直結で変速機もない。これだけシンプルだとトラブルが少ないんです。最低限の装備さえあれば街を安心して移動できる。そういう無駄のないミニマルな構造や造形美がかっこよくて。スニーカーみたいな感じでこれまでに様々なフレームに乗ってきましたね。パーツをセレクトして組み合わせられるから、国籍とか年代で揃えてみたり。カスタムにはその人の個性が出るから面白いですよね。だから、バルの服を買ってくれるお客さんにも自転車の楽しさを知ってもらいたくてオリジナルの自転車を作ったんです」。自転車に乗ることの良さを身をもって感じているからこそ、お客さんにも伝えたいという江田のディレクター精神。その想いを新たに誰かが受け取ることで、自転車の魅力が世に広がっていく。そしてそれは、誰かのクリエイティビティを刺激する可能性にも繋がっていくはずだ。

Left アーティストのMADSAKI(マッドサキ)が乗っていたことで知ったBob Jacksonのフレーム。タイヤはチャレンジエリート25cチューブラー。クランカーハンドルはNITTO社製のHOW I ROLL x Funny’s BCS G-FLEX BAR。Right HUMAN NATURE 店舗前で撮影。着用Tシャツは、チェコ産ナチュラルワインの銘柄であるMiran NestarecのオフィシャルTシャツ。

 
 
江田 龍介
バルディレクター。同ブランドアイテム以外にも、カレー屋「HENDRIX」やナチュラルワイン専門店「HUMAN NATURE」のグラフィックを手がけるなど、最近はデザインと食を組み合わせた活動にも精力的だ。
 
 
 

Photo John Clayton Lee Interview & Text Yutaro Okamoto

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