Potter Born in Hokkaido, Japan in 1993. In March 2019, she graduated form the |
Ceramic Design Institute in Tajimi, Gifu. She currently works at the Kanazawa Utatsuyama Studio, seeking the spontaneous beauty of ceramic art. She | continues to create unique works that flow between ceramics and art. |
一見するとなんの素材でできているか見当もつかないこの作品。名は『骸(むくろ)』という。この作品は陶磁器を作る過程の中から生まれ形になる。中井波花という若きアーティストの生み出すのこの創作物にクリエイティブディレクター南は目を奪われた。今回は中井波花氏ご本人を呼びインタビュー形式で、この作品の魅力に迫っていく。
「これは陶器なんですけど、器や花器のように用途のあるものではなく底のない筒状の形をしているアート・オブジェですね。その歪んだ形状は立体の造形物として純粋にカッコいいし、とにかく力強さがありますね。でもどうやってできているのか、どういう想いが込められているのかわからなくて、今回はご本人に改めて聞いてみたいと思いました。(南)」
中井はこの『骸(むくろ)』をどう作っているのか?本人に直接聞いてみた。
「この作品は陶器とは全く違うものに見えるかもしれませんが、私にとってすごく陶芸らしいんです。例えば器を作る時でも釉薬が思わぬ反応起こしたり、焼いた時に作品が割れてしまうという現象はよく起こります。器でいうとそれは失敗ということになるんですが、私はその割れた部分もすごく陶芸らしい表情だなと思っていました。なので、その部分を抽出して大きな作品にしてみたい。陶芸にしか出せない表情を作りたいというのが出発点でした(中井)」。
いわゆる陶芸の価値観では失敗とされる割れた部分、その表情に魅せられた中井は、こうも話す。
「昔の茶の湯のお碗や焼き物の歴史を振り返ると、そういう一般的には不完全なものとされるものや自然に生まれたそういう景色が美として受け入れられてきた文化があると思うんです。ワビ、サビの価値観などがその典型的なものだと思うんですが(中井)」。
土や釉薬、窯、それぞれが偶然の掛け合わせによって生み出す美しさ。それこそが中井が追い求めるものであり、作品の魅力となっている。
「偶然性を引き起こすために、釉薬を普段とは違う使い方をしています。釉薬って本来は器の表面を覆うガラス質で、耐水性と汚れがつかないようにする目的と、色を青くしたり赤くしたりする為のものです。手捻りの時にその釉薬を使って層を作ってあげるんです。釉薬と土は融点が全然違うので、焼いた時に自分ではコントロールできない。土も火も釉薬もわがままに勝手に反応するんです」。「丸い筒を作るということは意図しているけど、出来上がった時の形はコントロールできない。むしろその環境を作っているんですね(南)」。
「はい。わがままって良いじゃん、て私思うんです。作品が出来てきて、人の手に負えない部分が多いというのも、自分を振り返ってみるとそれでいいと思わされるんです。わがままに素材が自分らしくやって、でも折り合いがついて形になる。100%コントロールできない面白さ、そこが陶芸らしいというか、偶然の芸術性って陶芸本来の魅力だと思うんです。すごく野生的だし、生きているものが持っている美しさが現れていると感じます。
(中井)」。
Select Takayuki Minami | Photo Masayuki Nakaya |