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ART & CRAFTS
Glasswork
BAKU TAKAHASHI

ART & CRAFTS
Glasswork
BAKU TAKAHASHI

No Title
Width 160mm Depth 45mm Height 160mm
見たことがありそうで、なかったもの

ベニーニや様々なガラスの花器、工芸品にも深い造詣がある本連載のナビゲーター南。そんな彼が今までのガラス工芸品とは違う全く新しいアプローチを感じたという高橋漠(ばく)の作品。南はこう話す。「ガラスは花器をはじめ、様々な用途がある上でのアートピースというのが僕の感覚だったのですが、彼の作品は用途のない完全なオブジェ、アート作品であることに衝撃を受けました(南)」。
 
今回紹介する作家、高橋漠はガラスを使った作品を手がけるアーティストだ。彼がガラスと出会い作品を作るようになったのは学生時代に遡る。
 
「子供の頃から絵を描くのが好きで、美大に行こうと思っていたんです。その中でもグラフィックデザイン学科や油絵学科ではなく、彫刻学科や工芸学科などの自分の手で立体物を作る専攻に行きたいと思って。それで工芸学科を目指しました。そして多摩美術大学に入ってガラスに出会い、やってみて単純に面白かったのと、素材としての不思議な感じに惹かれていきました。透明なモノって、改めて考えると不思議で。もっと知りたいと思うようになってから今日に至るまで、ずっとガラスをやっています(高橋)」。

No Title Width 70mm Depth 70mm Height 200mm

No Title Width 90mm Depth 90mm Height 120mm

 
高橋漠の作品の特徴といえば、ポップなカラーリングと独特の造形だ。
 
「子供の頃からカラフルなものが好きで、いろんな色彩を使いたいという気持ちがあります。昔のアニメやスーパーファミコンのゲームはカラフルなものが多くて、その影響だと思います。以前は、作りたいものの完成形をイメージして、そこに必要なことをして作っていくプロセスでした。でもそのやり方だと、完成したときに思ってたものと違ったり、思ったほどでもないみたいなことが結構あったんです。そうならないようにするために、今は制作段階では完成形のイメージがありません。最初にパーツを作り、それを組み合わせて最後に完成するんです。完成した瞬間が一番嬉しくて、想像してなかったけど面白いと思えるものができて、『あ、できた』みたいな感覚です。見たことあるけど見たことない、みたいなものを作りたくて。全く見たことがないとびっくりが勝ってしまう。だけど、見たことありそうだけど見たことがないものは、じわじわと面白くなってくるというか。そういうことを意識して作っています。そして色に関して付け加えると、全ての色を平等に扱いたいと思っています。好きな色、嫌いな色は誰にでもあると思うし、僕にもあります。『これパッとしない色だな』みたいな。だけどその色をなんとか活かしたいと思うんです。その色を活かそうとして作品に落とし込むと、自分にも新鮮な色合わせや驚きがあるんです。好きな色ばかり使うと予定調和というか、見たことがあるものになってしまいます。見たことがないものにしたいので、どの色も平等に使おうとしているのが新鮮さにも繋がっていると思います(高橋)」。
 
「ガラスの接合はどうやっているんですか?(南)」。
 
「フォトボンドっていう、ガラスとか透明なものをくっつける接着剤があって。倉俣史郎のアクリル作品の接合などにも使用されているらしいんですけど。全く色がなくて、すごくきれいなんですよ。だから透明性を高く保てるんです。僕は組み合わせるのが楽しくて接合を始めたんです。子供の頃にブロック遊びが好きでその延長線上です(高橋)」。
 
高橋の遊び心の中から生まれるガラスのアートたち。ガラスを使ってアート、オブジェを作ろうと思ったキッカケはそもそもどんなところにあったのだろうか。
 
「多摩美の工芸学科が変わっていたことが大きいかもしれません。『好きなものを作れ。コップとかはつまらないから』みたいな教育方針で。その頃からオブジェを作っていました。アートと工芸の違いをよく考えますが、日本の人ってカテゴライズされてないと安心できなというか『。これはアートですか?工芸ですか?』って聞いてくる人がいますが、『僕にもわかりません』ということが多くて。面白いと思って作っているだけなので、アートなのか工芸なのかは僕には大事ではなくて。作り方や機能性に工芸としての価値があると思うんですけど、存在そのものや概念にアートは価値がある。その両方が存在することもあると思うんです。だから見る人にとっても、アートか工芸かは関係なく、好きかそうではないかで判断してもらえるようになると面白いですね(高橋)」。
 
 
高橋漠
多摩美術大学にてガラス工芸を学び、卒業後は地元福岡県で活動する。宙吹きと呼ばれる技法で、カラフルで豊かな表情のガラス作品を作る。自身が運営するガラスウェアブランド「TOUMEI」では花瓶やコップなどの実用的な作品も購入できる。
 
 
南貴之
クリエイティブディレクターとして活躍し、コンセプトストアのグラフペーパーやヒビヤセントラルマーケットなどのディレクションを行う。ギャラリー「キュレーターズ・キューブ」にて高橋漠氏の作品に出会う。
 
 
 

Select Takayuki Minami Photo Masayuki Nakaya Interview & Text Takuya Chiba

 

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