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UNIONオーナー、クリス・ギブスが薦める LAの新たな店とそこで生まれるコミュニティ

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Chris Gibbs (UNION Owner / Director)

クリス・ギブス ロサンゼルス、東京、大阪と現在3店舗あるUNIONのオーナー。ユニオンオリジナルやコラボレーション企画のディレクションやデザインも手掛けるほか、実際にお店に立ちゲストとのコミュニケーションの時間も大切にする。
NeighborsSkateShop

スケーターがいない時間は地元の子どもたちの遊び場となっているスケートランプ。

クリスが会話しているのが共同オーナーであるTre(左)とCleonArrey(中)。天井まで続く高い壁はブラックカルチャーのコラージュで埋め尽くされ象徴的なインテリアとなっている。

オリジナルのTシャツやデッキのほか、ステューシーやファッキングオーサムなどのブランドもお店でセレクトしている。
ブラックコミュニティに支持される
気鋭のスケートショップ

アフリカ系アメリカ人が多く住むクレンショー地区にあるレイマートパーク。芸術、音楽、フードとブラックカルチャーが色濃いこのエリアにあるスケートショップが“ネイバーズ スケートショップ”だ。店前に置かれたスケートランプやこの店に集うスケーターたちの様子から、ここがスケートショップであることを物語っていた。店内の壁、販売しているデッキやTシャツもブラックカルチャーをルーツとしたものが多くグラフィックのセンスの高さにも驚いた。「ネイバーズ スケートショップを見ていると、まさにユニオンが始まった頃の様子を思い出します。レイマートパークという地区でローカルに根差していて、インディペンデントなやり方でお店をやっています。レイマートパークはロサンゼルスの中でもブラックコミュニティの歴史が強いところ。そういった場所に誇りを持ってブランドやお店をやっており、コミュニティに支持されている。お店がこの辺りの社交の場になっているのです(クリス)」。取材日もお店には10人ほどの人々が集い、会話をしている人もいれば、お店の中にある椅子に座って一人ゲームをしている人、玩具のバスケットボールで遊んでいる人などみんなが思い思いに過ごしていた。レイマートパークには日本人はおろかアジア人の姿はない。日本人がここに来るのがよっぽど珍しいのか、道行く人が気さくに話しかけてくれるのが印象的だった。そんな周辺の独特な雰囲気も相まって、個性を発揮するネイバーズ スケートショップ。かつてユニオンがそうだったように、まだ小規模だが熱気のあるこのお店が有名になる日はそう遠くないだろう。

at Leimert Park

Neighbors Skate Shop
4344 Degnan Blvd. Los Angeles, CA
@neighborsskateshop

Harun Coffee Shop



白を基調とした店内は観葉植物などが置かれており、心地の良い空間が広がる。インパクトある壁面アート作品や、ハルーンコーヒーショップがあるエリア“クレンショー”の文字を大きく表した布の作品など、この地域ならではなインテリアが面白い。アフリカンな柄を感じるアイテムが多いグッズコーナーも特徴だ。
地域を盛り上げるための社交場としてのカフェ

ネイバーズ スケートショップの二軒隣にあるのが、ハルーンコーヒーショップ。音楽業界で活躍したオーナーのチェイス・ジョンソンが経営者としてオープンしたお店で、コーヒーを始めとするドリンクのほかスムージーやサンドイッチ、ドーナツなど軽食も販売。カフェの隣にはアートギャラリーやコミュニティスペースとして使用できる空間もあり、そこではオリジナルのTシャツやセレクトされたアパレルグッズも販売されている。「5年くらい前に、このレイマートパークという地域を盛り上げようとこのカフェをはじめたのがオーナーのチェイスであり僕の友人です。このハルーンという社交の場が出来てから、人々が集まってコミュニティが発展しはじめました。今では周りに文化的なお店が増えてきて盛り上がり始めていますが、そのきっかけとなったお店なんです(クリス)」。居心地の良いカフェでコーヒーを飲む。お店に訪れる客はミュージシャンやデザイナーなどクリエイティブな職種の人々が多いのも印象的だった。良い街には良いカフェがある、ということを思わせるそんな店だ。

at Leimert Park

Harun CoffeeShop
4336 Degnan Blvd, Los Angeles, CA
@haruncoffee

Community Goods



壁の食品や雑貨コーナーには日本の醤油やタイのソースなど世界中の調味料も揃う。飲み物のメニューは、コーヒーはもちろん、ファッションシーンでじわじわと話題になりつつあるロッキーマッチャを使用した抹茶ドリンクも。ここのおすすめをスタッフに聞いたところ、カフェラテにバニラビーンズをトッピングした通称バニララテが人気だという。
クリエイティブワーカーが集う場所

クリスがもう1つ提案してくれたカフェが今年オープンしたばかりのコミュニティグッズ。「有名なクラブプロモーターがオーナーのお店で、そういう繋がりもあり今みんなが注目しているカフェなんです。インテリアも魅力で、行けば必ず友達やクリエイティブな人がいるようなコーヒーショップです(クリス)」。ファッションブティックが多く、ロサンゼルスでも指折りの洒落たエリアであるメルローズに位置するこのカフェは、朝のオープン時から人々で賑わう。開放感のある大きな窓から差し込むロサンゼルスの朝日が心地良く、空間を見渡すと天井にはオージャスのスピーカー、本棚には国内外のファッション雑誌や写真集が置かれ、店内の随所にこだわりが見られる。雑貨や食品も置かれており、コーヒーを待っている間についつい手に取ってしまう。クリスが話すように、取材時もモデルやファッション、映画の関係者などがコーヒーを買いに来ており、まさに社交場のような雰囲気があった。

at Melrose

Community Goods
710 N Edinburgh Ave, Los Angeles, CA
@thecommunitygoods

Black Market Flea

ブラックマーケットフリーの垂れ幕が象徴的な中央の広場で談笑していた若いグループ。カメラを意識してポージングする様子にLAならではの肩肘張らない雰囲気を感じることができる。

工業地帯のイベントスペース“BEEFIVE”を使用して行われるブラックマーケットフリーは12歳以上はチケットを購入して入場するシステムとなっている。



ブラックマーケットフリーのオーナーであるMayahHatcher(左)とKANEO(右)。2人は過去にユニオンのビジュアルにモデルとして出演したことも。
ブラックコミュニティによる
熱気あるフリーマーケット

最後にクリスが紹介してくれた場所は、店舗ではなくフリーマーケット。ロサンゼルスといえば、ローズボールを代表とした大小様々なフリーマーケットが盛んで毎週末どこかで行われていることで有名だが、ブラックマーケットフリーはその名前の通り、ブラックコミュニティによるもの。「フリーマーケットを目的にロサンゼルスへ来る人も多いと思います。そういったカルチャーがある中で、パンデミック中に若いカップルが始めた、ブラックカルチャーのフリーマーケットです。一般的なフリーマーケットのように、古着や手作りのアイテムを売っているところもあるのですが、DJイベントやフードも充実していて、パーティーのような雰囲気が面白いです(クリス)」。毎月のように開催され、日程はインスタグラムアカウントを通して知ることができる。今回はサウスセントラルにある工場地帯の一角にあるイベントスペースで開催されていた。サッカーのフルコートほどある広い敷地内には、バーガーやフライドチキンのようなファストフードからビーガンフードなど多彩な食文化の屋台、色鮮やかでアフリカンな柄の手作りの小物を売っている人、洗練されたデザインの服など様々なお店が立ち並ぶ。アジア人はほかに一人も見かけなかったので、訪れる際には浮くことは間違いないが、勇気を出していけばここにしかないカルチャーを体験できるはずだ。

Black Market Flea
@blackmarketflea

Photo Ryuta Hironaga (P032-034)
YuseiKanda (P035-037)
Translate Aya Muto
Coordinate Daiki Fukuoka
Illustration Takuya Kamioka
Interview & Text Takayasu Yamada

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